祝賀ムードのロシアも、トランプに「見捨てられた」ウクライナと変わらない
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トランプは就任早々、プーチンの利害に沿った発言を繰り返しているが…… AP/AFLO
<停戦は実現するのか? トランプ政権はヨーロッパとの同盟関係を骨抜きにし、交渉が始まる前からプーチンに大きな譲歩をしている。それでも、交渉で終わらせるには大きな障害が残っている>
いまモスクワは、クリスマスと復活祭と新年が一緒にやって来たかのようなお祭りムードになっている。
2月12日、トランプ米大統領はロシアのプーチン大統領と電話会談を終えた後、ウクライナの未来に関する米ロ交渉を直ちに始めると表明。米ロ交渉は、前提条件なしに、ほかの国を参加させずに行うとされている。ヘグセス米国防長官も、ウクライナのNATO加盟に否定的な見解を示し、ウクライナが2014年のロシアによるクリミア併合以前の国境線を回復することも現実的ではないと述べた。
ウクライナが友好国から見捨てられたように見え始めたのだ。ヨーロッパがすっかり腰砕けになる一方、アメリカのトランプ新政権はヨーロッパとの同盟関係を骨抜きにし、まだ交渉が始まる前からロシアに大きな譲歩をしている。
プーチン周辺が最もほくそ笑んでいるのは、トランプがウクライナやヨーロッパ諸国抜きで交渉を進める意向を示していることだ。プーチン支持派の軍事ジャーナリストであるアレクサンドル・コチも、ウクライナの運命を「2人の男が決定」し、ヨーロッパに「バックコーラス」程度の役割しか与えられないことを歓迎している。
もっとも、ロシア国内の祝賀ムードの陰に隠れているが、戦争を交渉で終わらせるには大きな障害が残っている。