最新記事
ウクライナ戦争

祝賀ムードのロシアも、トランプに「見捨てられた」ウクライナと変わらない

2025年2月17日(月)18時20分
アレクセイ・コバリョフ(ジャーナリスト)

プーチンは一貫して強硬な姿勢を崩しておらず、交渉での歩み寄りの余地は小さい。プーチンは、ロシア軍が一度も支配下に置いていない地域まで明け渡すよう、ウクライナに要求している。ウクライナにとっては、とうてい受け入れられない要求だ。

ロシアには、自国の要求を押し通すだけの軍事力はない。戦場ではロシア軍が着々と前進していて、時間がたてばたつほどロシアが有利になるといった主張は、事実に反する。これまでのロシアの戦果は極めて小さく、その半面でロシア軍は莫大な数の兵員と装備を失っている。


結局、ロシアに唯一残されている希望は、アメリカがウクライナを見捨てるという可能性だが、ロシアがトランプをコントロールする手だてはない。トランプの気まぐれに依存しているという点では、ロシアもウクライナと変わらないのだ。

そこで焦点は、トランプに最も説得力のあるお世辞を言うなり、最も明確な利益を提示するなりできるのがロシアとウクライナのどちらか、ということになる。

元情報機関工作員のプーチンは、この点を素早く見て取り、トランプが強くこだわっていること──例えば2020年の米大統領選では自分が勝っていたという主張──に同調することにしたようだ。

それに対し、ウクライナ側は時間を稼ぐ作戦らしい。プーチンの融通の利かない姿勢やけんか腰の態度にトランプがうんざりするのを待とうというわけだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

独政府、米製品ボイコットに反対 「良好な貿易関係に

ビジネス

トランプ関税、日本車も対象に GDP0.2%程度下

ワールド

米、貧困国の子ども用ワクチンの資金提供打ち切りへ=

ビジネス

米ダラー・ツリー、ファミリー・ダラー事業をPE連合
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 8
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 9
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 10
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中