祝賀ムードのロシアも、トランプに「見捨てられた」ウクライナと変わらない
プーチンは一貫して強硬な姿勢を崩しておらず、交渉での歩み寄りの余地は小さい。プーチンは、ロシア軍が一度も支配下に置いていない地域まで明け渡すよう、ウクライナに要求している。ウクライナにとっては、とうてい受け入れられない要求だ。
ロシアには、自国の要求を押し通すだけの軍事力はない。戦場ではロシア軍が着々と前進していて、時間がたてばたつほどロシアが有利になるといった主張は、事実に反する。これまでのロシアの戦果は極めて小さく、その半面でロシア軍は莫大な数の兵員と装備を失っている。
結局、ロシアに唯一残されている希望は、アメリカがウクライナを見捨てるという可能性だが、ロシアがトランプをコントロールする手だてはない。トランプの気まぐれに依存しているという点では、ロシアもウクライナと変わらないのだ。
そこで焦点は、トランプに最も説得力のあるお世辞を言うなり、最も明確な利益を提示するなりできるのがロシアとウクライナのどちらか、ということになる。
元情報機関工作員のプーチンは、この点を素早く見て取り、トランプが強くこだわっていること──例えば2020年の米大統領選では自分が勝っていたという主張──に同調することにしたようだ。
それに対し、ウクライナ側は時間を稼ぐ作戦らしい。プーチンの融通の利かない姿勢やけんか腰の態度にトランプがうんざりするのを待とうというわけだ。