USAID消滅で中国・ロシアが勢力拡大へ...失われるアメリカの影響力
THE ATTACK ON USAID
USAIDの行く末は、保守系シンクタンクのヘリテージ財団の政策提言「プロジェクト2025」の重要な焦点でもあった。元USAID副長官代理首席補佐官のマックス・プリモラック氏はその中で、バイデン政権がUSAIDを「ゆがめた」と主張。アメリカの対外援助を外交政策目標と一致させることを提唱し、同庁は「中国による開発への対抗」に焦点を当てるべきだと記している。
USAIDに対するトランプ政権の動きをめぐり、元職員や専門家は、世界中の人々に不可欠な援助を提供し、アメリカの外交政策上の利益を促進する同庁をトランプが解体しようとしていると警鐘を鳴らしている。そうした動きが続けば、「アメリカの世界戦略における、大きく重要な手段が失われる」と、国際難民支援会の会長で元USAID高官のジェレミー・コニンディク氏は言う。
USAIDがなくなれば「アメリカは影響力を失い、多くの人々が苦しむ」とコニンディク氏は指摘する。彼はさらに、中国とロシアが「自国の影響力のためにそれを利用しようとするだろう」と警告した。
議会法に基づいて設立されたUSAIDを大統領令だけで国務省に統合することには、法的な問題もある。法律の専門家らはトランプ政権の違法性を指摘し、民主党は政府が国を憲法の危機に陥れたと非難している。