フェイク動画でUSAIDを攻撃...Xで拡散される「ロシア産」偽情報の仕組み
Anti-USAID Video Shared by Musk Marks Russian Propaganda Triumph
問題の動画は俳優のアンジェリーナ・ジョリー氏を始めとするセレブたちがUSAIDによってウクライナに送り込まれたという内容で、長さは26秒間。「E!」というロゴが右下に付いており、エンターテインメント関連情報サイト「E!ニュース」の報道であるかのように作られていた。
だがこの動画は「本物ではないし、E!ニュースが流したものでもない」と、E!ニュースの広報担当者はAFPに述べたという。
ウクライナもこの動画の内容を否定。ウクライナ大統領府のアンドリー・イェルマーク長官は「まったくのたわごと」だと一蹴した。
前述のボット・ブロッカーによれば、この動画を仕掛けたのはマトリョーシカだ。またBBCはこの動画について「ロシアによる偽情報作戦の明らかな特徴をいくつも」備えていると指摘した。
これまでもマトリョーシカは、有名なメディアの報道であるかのように見せかけた動画で偽情報を拡散してきたと言われている。
ソーシャルメディア上の偽情報問題に詳しいクレムソン大学のダレン・リンビル教授は、この動画について「よくある手法を用いてロシアが制作、投稿、拡散した動画のあらゆる特徴」を備えていると語る。
レビット大統領報道官の苦しい言い訳
キャロライン・レビット大統領報道官は報道陣にこう述べた。「あなた方のことはいざ知らず、私自身はアメリカの1納税者として、自分が納めた税金がこんな下らないことに使われるのは望まない。アメリカの(他の)人々も同じはずだ。それこそがイーロン・マスクがトランプ大統領から任されている仕事なのだ。つまり連邦政府から詐欺と無駄と乱用を根絶するということだ」
イェルマーク氏はXにこう投稿した。「アンジェリーナ・ジョリーやショーン・ペン、ジャン・クロード・ヴァン・ダム、オーランド・ブルーム、ベン・スティラーがウクライナ訪問と引き換えにUSAIDから400〜2000万ドルの金を受け取ったなどという嘘の主張が拡散されているが、もちろんまったくのたわごとだ」
今後、USAIDの対外援助のうちどのプログラムが中止となるかは、トランプが大統領に就任した1月20日から90日の間に明らかになると見られる。続行が認められたプログラムに関しては、この再検討期間の終了後に資金拠出が再開されるだろうが、多くのプログラムは中止になるとみられる。