教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
教員就職者の出身大学・学部のランクは、全学生でみた場合よりも、低いほうに偏っている。教員の不人気もあり、最近では学力が同世代の中央値にも満たない人が教壇に立つことも多くなっているだろう。「倍率が高かった20年前であれば採用されなかったような人が、教壇に立っている」。こういう声が現場でも聞かれる(「『できていないんです』泣き始めた新人教員 大量採用時代、育成に苦悩」西日本新聞2021年9月12日)。授業参観で、保護者が教師の間違いを指摘する光景が日常になるかもしれない。
教員の不人気を解消し、優秀な人材に来てもらおうと、国も教員の処遇改善に取り組んでいる。2024年6月の中央教育審議会答申では、残業代の代わりに支給する教職調整額を4%から10%に引き上げる、という案が示された。だが、現場の教員は不満顔だ。それもそのはず、ただ数字が変わっただけで、「定額働かせ放題」の仕組みは維持されるからだ。
そもそもお金云々ではなく、教員があたかも「何でも屋」のように扱われている現状を変えなければならない。現場の教員が思っているのは、「カネはいいから、時間(ゆとり)をくれ」に尽きる。教員は、教えることの専門職。この原点に立ち返り、役割革新を進めることが真の処遇改善というものだ。
<資料:旺文社『大学の真の実力2025』、
ベネッセ「マナビジョン」>