最新記事
アメリカ

トランスジェンダーの移動の自由を奪う? パスポートの性別変更を凍結したトランプ政権

A HORRIFYING ORDER

2025年2月4日(火)15時30分
デービッド・マック(ライター)

newsweekjp20250204040413-cc1f244c384115c7dbfdf657bf997b2517af733e.jpg

ノンバイナリーにとってパスポートは単なる旅券以上の意味を持つが AP/AFLO

パスポートに関する新政策の影響がどこまで広がるかは分からない。現時点では、既に発給されたパスポートを無効化しようとする動きは見られないものの、ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官はニュースサイト「NOTUS」に対し、「パスポート更新の申請はできる。ただ、出生時に決定された、神から授かった性別を使用しなければならないだけだ」と主張した。

LGBTQ+(性的少数者)の公民権擁護団体「ラムダ・リーガル財団」の弁護士、カール・チャールズは、レビットが宗教的な表現を用いたことが政策の本質を雄弁に物語ると指摘する。「こうした政策が、憎悪に突き動かされたものであることを如実に示している」と、チャールズは言う。「その動機は、今の政権および政権の全ての支持者が信奉する、非科学的なイデオロギーをいかに推し進めるかということだ」


Lにとって、この混乱は極めて現実的なものだ。彼は以前、新たな性自認に基づくパスポートを取得したが、そこには改名した新しい名前が記載されていない。そのため、更新の申請をすればパスポートを押収されることになるのではと懸念している。オーストラリアの友人たちを訪れる計画は無期限で延期中だ。

「自分に合わない名前で呼ばれるのは嫌だし、身分証明書の名前と今の名前が一致しないことも心配だ。旅行の際に名前変更を証明する書類を持ち歩かなければならないのかなど、不確定なことが多くて気がめいる」と、Lは語った。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ノルウェー、連立離脱で内閣改造 財務相に人気の前N

ビジネス

配車アプリのグラブとGoTo、合併交渉=関係筋

ワールド

中国、米に最大15%の報復関税 グーグル独禁調査や

ワールド

中国、タングステンなど金属5品目に輸出規制 米関税
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我との違い、危険なケースの見分け方とは?
  • 4
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 5
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 6
    中国AI企業ディープシーク、米オープンAIのデータ『…
  • 7
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 8
    脳のパフォーマンスが「最高状態」になる室温とは?…
  • 9
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 10
    メーガン妃からキャサリン妃への「同情発言」が話題…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 8
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 9
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 10
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 10
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中