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トランプの「ディール外交」──ゼロサム的世界観を紐解く

A MORE ZERO-SUM WORLD

2025年1月23日(木)16時28分
ラビ・アグラワル(フォーリン・ポリシー誌編集長)

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退任演説をするバイデン(25年1月) MANDELNGANーPOOLーREUTERS

トランプは公職に親族を登用したがる。前政権では長女イバンカと夫のジャレッド・クシュナーが国内外の政策で重要な役割を果たした。

今回はジャレッドの父チャールズがフランス大使に、次女ティファニーの夫の父マサド・ブーロスが中東担当顧問に任命された。

各国はトランプに近づくために身内に働きかけてきた。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は政府系ファンドを通じ、ジャレッドの未公開株式投資ファンドに20億ドルを投資した。


インドのナレンドラ・モディ首相は17年、ビジネスの会合でハイデラバードを訪れたイバンカを異例の歓待で迎えた。金に糸目は付けなかった。道路を補修し、舗道を清掃し、縁石を塗装し、政府寄りのテレビ局は大統領の娘を褒めたたえた。

アメリカと敵対する国々の動きはそこまで明白ではない。ロシアや中国など既にアメリカから制裁を受けている国々は、より厳しい制裁に備えると同時に、より不安定な世界秩序の到来を喜んでいる。

ロシアは、アメリカが支えるNATOの強さを致命的で長期的な脅威と見なしている。中国は、日米豪印戦略対話(QUAD)を「アジア版NATO」に発展させようというアメリカの思惑に不満を募らせている。

トランプがある分野でよりよいディールを得るためにいずれかの同盟を軽視すれば、アメリカの敵対国は別の分野で利益を得ることになる。

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