移民問題がカナダを二分...トルドー辞任と進歩派指導者が直面する「二重の圧力」
The End of the Modern Progressive Experient
19年と21年の総選挙で自由党が過半数割れすると、トルドーは中道左派の新民主党(NDP)などの協力を仰いで法案を可決する少数与党政権を運営せざるを得なかった。
だが昨秋に同党との協力協定が崩壊し、NDPのジャグミート・シン党首は12月に内閣不信任案を提出する意向を表明。他の野党も同調した。
トランプ時代の対抗軸に
トルドーが世界の舞台に躍り出た15年10月、彼の進歩主義的な資質は、終盤に差しかかっていた米オバマ政権を引き継ぐ存在に見えた。
当時は、米大統領選に名乗りを上げたドナルド・トランプが、まだメディアからネタ扱いされていた時代。
社会自由主義が堂々と語られ、「ツイッター」と呼ばれていたSNSで男性政治家が「自分はフェミニストだ」と公言しても嘲笑されない時代だった。
その一方で、トランプのような右派政治家の躍進や西側での文化的ダイナミクスの変化が、リベラル的理想の優位を揺るがし始めた時期でもあった。
トルドーはトランプ時代の対抗軸となるべく、ワシントンでの論争にたびたび意見を発信した。
その象徴的な出来事が17年にあった。トランプがイスラム教徒の多い国からの入国を制限する大統領令に署名した直後、カナダは難民歓迎を打ち出した。
「迫害、テロ、戦争から逃れている人々へ、カナダは信仰に関係なく皆さんを歓迎します」と、トルドーはツイートした。
「多様性はカナダの強みです」
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