最新記事
人口減少

日本の「人口減少」に海外注目...米誌が指摘した「深刻な問題点」とは?

Japan's Plans To Tackle Population Crisis in 2025

2025年1月8日(水)13時00分
マイカ・マッカートニー

児童手当の拡充

日本政府は、2023年4月にこども家庭庁を発足させ、2024年度だけで約5兆3000億円の予算を確保した。さらに今後3年間は、1年あたり約3兆6000億円が、児童手当の拡充や教育支援などに投入される計画だ。これらの施策により、カップルたちに、子どもを持つことは必ずしも家計を危機に陥れる要因にはならない、と納得してもらえるのではないかと政府当局は期待をかけている。

外国人労働者への門戸開放

日本はまた、厳格なことで悪名高い移民政策についても緩和を始めている。高齢者介護や農業などの産業が労働力を切実に求めているという事情から、政府は2024年に入り、入国ビザに関する規制を緩和し、在留期間の延長や転職、家族の呼び寄せができる外国人労働者の対象を拡大した。

日本の労働力人口が急減し続ける中で、2040年までに外国人労働者の数を3倍にまで増やしたいと政府当局は考えている。

ワークライフバランスの改善

働き手に過労を強いる日本の労働文化は、かなり以前から、子どもを持つことを阻害する要因として指摘されてきた。この傾向は特に、キャリアにおけるチャンスを逸することを恐れる女性の間で顕著だ。東京都は2025年4月から、16万人強の都職員に週休3日制を導入する方針だ。これとは別の政策として、小学校1〜3年の子どもを育てる都職員が、減給と引き換えに1日最大2時間勤務時間を短縮できる「子育て部分休暇」の制度も導入される。

オックスフォード大学インターネット研究所/AI倫理研究所の准教授で、日本の労働慣行が社会に及ぼす影響を研究しているエカテリーナ・ヘルトグなど複数の専門家は、より多くの男性が進んで子育ての務めを担わない限り、本当の意味での変化は起きないと警告している。

これは、男性も取得できる12カ月の育児休暇を活用することを意味する。ある研究によると、実際にこの休暇を取得した男性の割合は、2019年の時点でわずか3%強にとどまっているという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米3月小売売上高1.4%増、約2年ぶり大幅増 関税

ワールド

19日の米・イラン核協議、開催地がローマに変更 イ

ビジネス

米3月の製造業生産0.3%上昇、伸び鈍化 関税措置

ビジネス

カナダ中銀、金利据え置き 米関税で深刻な景気後退の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気ではない」
  • 3
    【クイズ】世界で2番目に「話者の多い言語」は?
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    NASAが監視する直径150メートル超えの「潜在的に危険…
  • 9
    あまりの近さにネット唖然...ハイイログマを「超至近…
  • 10
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 3
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 7
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 8
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 9
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 10
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中