今、世界は現代版『ゲルニカ』だ!...「京都が体現する共存」から世界を見つめ直した
GUERNICA IS ALWAYS WITH US
スペインの画家パブロ・ピカソによる「ゲルニカ」を鑑賞する来場者、ソフィア王妃芸術センターにて(2024年3月)Stefano Politi Markovina-shutterstock
<対話が断ち切られ、憎悪が噴出し、戦火がやまず、愛するもの全てが死に絶えた...。私たちを取り巻く世界は、底なしの絶望から新しい年が始まる>
パリから大阪に向かう最近のフライトでモニター画面に表示された航路図は、まさに2024年の世界の現状を反映していた。
私たちを乗せた飛行機はフランスからオーストリアに向かい、ルーマニア、トルコ、ジョージア、トルクメニスタンの上空をジグザグに通過し、ゴビ砂漠経由で中国を横断、北朝鮮の上空を回って直角に曲がり、大阪を目指す。
戦闘地域(ウクライナ、イスラエル、レバノン、イラン)と、厳しい制裁を科されて西側から完全に疎外されているロシアを避けるため、こんな航路になっていた。私たちはズタズタに断ち切られた世界の上を飛んでいたのである。
砲撃された学校、瓦礫の山と化した病院、泣き叫ぶ女性、通りを埋め尽くす抗議デモの波、キャンパスにテントを張って立て籠もる学生たち──私たちは日々、こうした映像を目にする。24年は底なしの絶望に塗り込められた陰鬱な年だった。
私はこの10年間、新著『異邦人ピカソ(Picasso the Foreigner)』(未邦訳)執筆のための調査に多くの時間を費やしてきた。世界の混乱と荒廃を目の当たりにして、いま脳裏に浮かぶのはパブロ・ピカソの記念碑的な傑作『ゲルニカ』だ。
1937年春、スペイン内戦開始後の最初の春のこと。晴れた空の下に定期市が立つその日、わずか4時間足らずの空爆がバスク地方の小さな町ゲルニカを阿鼻叫喚の地獄に変えた。
ピカソはこの恐るべき理不尽を告発する普遍的な言語を見いだした。文学、絵画、宗教の尽きせぬ素養を総動員し、伝統や過去の傑作からモチーフを得て、この壮絶な悲劇を描く大仕事にとりかかったのだ。
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