最新記事
シリア情勢

親族にも秘密でアサド前大統領は国外脱出...「自宅へ帰る」と言って空港へ直行

2024年12月16日(月)15時56分

UAEは受け入れ拒否

万策尽きたアサド氏は最終的に政権の終焉を受け入れ、国外脱出を決意し、父親の代から続いたアサド家のシリア支配に終止符が打たれた。

アサド氏周囲の人物3人によると、同氏は当初アラブ首長国連邦(UAE)に亡命を希望したが、旧反体制派に対する化学兵器使用疑惑などで欧米の制裁を受けている同氏の亡命を許せば国際的な反発を招くと懸念したUAEがこれを拒否したという。

しかしロシアのある外交関係者は、同国はアサド氏を見捨てるつもりはなかったと強調。ラブロフ外相は7日から8日にかけて、アサド氏の安全確保に向けた取り組みを陣頭指揮し、トルコとカタールに対してHTSに働きかけてアサド氏がロシアへ安全に待避できるよう段取りしてほしいと要請した。


 

西側の安全保障関係者の1人は、ラブロフ氏はアサド氏の安全な出国に向けて「できることは何でも」行ったと述べた。

トルコとカタールはHTSと接触したことを公式には認めていない。しかし3人の関係者は、両国がHTSを通じてアサド氏脱出の道筋を付けたと指摘する。

ロシアは、アサド氏が乗ったロシア機が戦闘機に迎撃されたり、ミサイルの標的になったりしないように周辺国との調整も図ったという。

アサド政権の首相だったモハメド・ジャラリ氏がアサド氏と電話を通じて最後に会話したのは7日午後10時半だった。「私は彼に情勢がいかに厳しいかを伝え、ホムスからラタキアまで多くの人が家を追われ、街頭はパニックと恐怖に満ちていると説明すると、彼は『明日会おう』と返事をしたので『では明日』と返事したのが最後に交わした言葉になった」と、サウジ系テレビ局の取材に語った。

翌8日の明け方、ジャラリ氏が再びアサド氏に電話したが、応答はなかったという。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日本のインフレ率は2%で持続へ、成長リスクは下方に

ビジネス

三菱商事、26年3月期に最大1兆円の自社株買い 年

ワールド

韓国、関税巡り米当局者との協議模索 企業に緊急支援

ビジネス

トランプ関税で実効税率17%に、製造業「広範に混乱
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 9
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 10
    トランプ政権でついに「内ゲバ」が始まる...シグナル…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中