最新記事
韓国

韓国ユン大統領、事実上の職務停止に追い込まれる? 与党代表「残る任期は最長でも半年」

2024年12月8日(日)18時41分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

ハン代表らの対国民談話に反発の声

ユン大統領の弾劾や下野といった荒療治をせずに、いわば与党のハン代表とハン首相による大統領代行という発表には、野党のみならず各方面から反対の声が上がっている。

禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長は対国民談話について、「大統領の権限を首相と与党が共同行使することは明白な違憲だ」と批判した。 そのうえで「大統領の職務を直ちに中断させるための与野党会談を提案する」とも述べた。

ウ議長は「今日の首相の談話には憲法も国民も見当たらない。大統領権力の付与も権限の移譲も国民から出るもので、その手続きは憲法と国民主権の原則に従わなければならない」とし、「大韓民国憲法は大統領が憲法と法律を重大に違反した時、大統領の権限を停止させ、職から退くための手続きとして弾劾手続きを規定している。今すぐ憲法にない一切の行為を中断し、憲法と法律に従って国政安定に集中することを国会議長として警告する」と述べた。

また、与党の重鎮、洪準杓(ホン・ジュンピョ)大邱市長は、国民の力のハン代表の対国民談話について「ハン代表に国民が選出した大統領を職務排除する権限があるのか? さらに混乱が来る前に辞退しなさい。 それが責任政治だ」と強調した。 

ホン市長は「このような事態になったのは初心者大統領と初心者党代表の2人で反目し、ここまで来ることになった」とし「(職務排除権限は)弾劾手続きしかない」と話した。 

続いて彼はハン代表に向けて「大韓民国国民はハン代表に国政を任せたことがない。党員が党務を任せただけだ」と批判、「朴槿恵(パク・クネ)弾劾の時も党代表は辞退した。 事実上、弾劾事態ではないか。 もっと混乱する前に辞退しなさい。 それが責任政治だ」と重ねて強調した。 

野党側は弾劾案の再提出へ

こうした与党側の動きに対して野党側はあくまで、ユン大統領を弾劾させるということで一致しており、最大野党の共に民主党は、ユン大統領弾劾訴追案を一週間単位で臨時国会会期を切り、表決処理に乗り出すという方針を決定した。

共に民主党は12月10日で通常国会が閉会する直後の12月11日に再び臨時国会を召集し、当日は尹大統領に対する弾劾訴追案を再発議し、土曜日の14日に採決を試みる案を有力に検討している。

これは韓国国会では案件が否決された場合、同じ会期に再び発議できないため、これを避けるため、会期を1週間という臨時国会を開催し、弾劾案が可決されるまで1週間ごとに再発議する計画だ。

20250225issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中