またトランプへの過小評価...アメリカ世論調査の解けない謎
11月20日、米国の複数の世論調査機関が、今回の大統領選で再びトランプ氏の支持率を過小評価した理由を究明する作業を進めている。写真は、期日前投票所の外で集会に参加するトランプ氏の支持者。3日、米フロリダ州クリアウォーターで撮影(2024年 ロイター/Octavio Jones)
米国の複数の世論調査機関が、今回の大統領選で再びトランプ氏の支持率を過小評価した理由を究明する作業を進めている。
政治やスポーツのデータ分析を手掛けるウェブサイト「538」がまとめた大統領選前の全米世論調査の平均値を見ると、トランプ氏の支持率は民主党候補ハリス副大統領を1ポイント下回っていた。ところが選挙の開票がほぼ終了した時点で、トランプ氏の得票率は50%、ハリス氏は48%だった。
世論調査は、トランプ氏の支持率を3ポイント低く見積もったことになる。538によると、2020年と16年の大統領選でも世論調査で示されたトランプ氏支持率は実際の得票率よりそれぞれ4ポイントと2ポイント低くなった。
さまざまな要素の影響を受ける統計の精度を踏まえれば正常な誤差の範囲内であり、微妙に意見の違う有権者から電話で正確な回答を得るのはとりわけ難しい。
ただ、全米の世論調査が一貫して同じ傾向を示していることから、調査担当者や専門家らの間には、トランプ氏支持者からなかなか回答してもらえず、支持率の過小評価につながっているのではないかとの疑念が浮上しつつある。
米中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーのマーケット大学法科大学院で世論調査を担当し、専門家団体「米公共意見調査協会」のために選挙前調査の問題点を洗い出す作業部会に参加するチャールズ・フランクリン氏は「トランプ氏支持者とつながるという面で課題があると考えざるを得ない」と述べた。
世論調査でほぼ正確にトランプ氏の勝利を示唆していたアリゾナ、ジョージア、ネバダ、ノースカロライナといった激戦州でさえ、実際の同氏の得票率は、世論調査よりおよそ1―3ポイント高かった。