「患者の命より自分の利益...」揺れる韓国医療、研修医ストライキが招いた悲劇の実態
KOREAN DOCTORS ON STRIKE
これではどう頑張っても、特定の診療科や地域に医者が偏ってしまう状況は改善できまい。何しろ、医者の絶対数が足りない。それでも時間をかけて医学部の入学定員を徐々に増やし、ばからしいほど高い入試の壁を低くしていけば、いずれは私利私欲よりも患者のため、社会のために尽くしたい人が医者になれる日が来るだろう。
ストが始まって半年以上が過ぎた9月、尹大統領の支持率は就任以来最低の20%にまで下がった。しかし、この問題で大統領を責めるのは間違いだ。
最大野党の「共に民主党」がこの問題を政治利用するのは当然だし、支持率低下にあえぐ与党内に医療改革の先送りを求める声があるのも事実。尹がスキャンダルまみれで、およそ国民感情を理解できていないのも事実だ。しかし、医者の絶対数を増やせという彼の主張は正しい。間違いではない。
その一方で、ストに参加せず診療行為を続けている医師たちの実名入り「ブラックリスト」が出回っている。ある医者が作成し、医療関係のサイトに載せたものだ。スト破りを糾弾したいのだろうが、卑劣だ。まあ、おかげで私たちは誰が「本当に患者を大切にしてくれる医者」かを知ることができたのだが。
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