分断と失望の大統領選に立ち向かうニューヨーカー
Election Exhaustion
ニューヨーク市警察のK・ドワイヤーは、トランプには欠点もあるが「新型コロナの襲来までは全てが順調だった」と語る。「戦争もなく経済は繁栄していた。(ジョー・)バイデンは最悪だ。国境を見れば分かる」。彼はトランプ支持の理由として移民の入国審査、治安、国境警備の費用に関するバイデン政権の無能な対応と、2020年に全米各地で抗議活動が起きた際の「民主党の政策の偽善」を挙げる。
ブルックリン出身でミュージシャンのトミー・レビンは、気候変動などの重要な問題が置き去りにされていると失望する。「私は26歳。同年代の人たちは、地球に差し迫った破滅に憤慨している」。彼はハリスに投票する。「(こうした問題を)真剣に考えているのは民主党だけだ」
彼らは選挙の結果がどうであれ、異なる価値観を受け入れられない。ただし、彼らには共通点がある。「選挙疲れ」だ。そして、この二極化がさらに悪い状況に変わるかもしれないと感じている。
私は1990年代に英領北アイルランドで育った。かの地ではカトリック教徒とプロテスタントの間で40年にわたり残虐行為や殺人が繰り返され、人間性が著しく欠落した状態が続いた後、98年に和平合意が締結された。
世界随一の超大国は、国民が激しく二極化してはいるが、1861~65年のような全面的な内戦の渦中にいるわけではない。北アイルランドの人々は困難な対話と前向きな妥協の必要性を認識し、対立より理解を選んだ。