どちらが勝っても日本に「逆風」か...トランプvsハリス、日本経済にとって「まだマシ」なのは?
SHIFTING AMERICAN WINDS
当然のことながら、世界の物価動向はアメリカ経済の影響を強く受けるので、アメリカが再びインフレに転じれば、その流れは日本にも波及する可能性が高い。
ちなみに共和党の副大統領候補であるJ・D・バンス氏は、グローバル主義の象徴とされる巨大テクノロジー企業の解体を主張している。
過激な政策であり、実現性に疑問符が付くものの、トランプ政権の誕生によってアメリカのテクノロジー産業に逆風が吹けば、生産性の低下を通じて、やはりインフレが発生しやすくなる。
金融政策や為替は矛盾だらけ
つまりトランプ氏の目玉政策が実施された場合、貿易の停滞と人手不足、生産性低下が同時発生し、インフレ圧力が高まる可能性が高い。ここで問題となるのが金融政策である。
インフレが進んだ場合、セオリーどおりに考えれば、FRB(米連邦準備理事会)は物価を抑制するため金利の引き上げを実施せざるを得ない。トランプ氏はインフレを退治するとも主張しているので、本来なら利上げを支持するはずであり、そうなった場合にはドル高が進むことになる。
だが、トランプ氏は金融政策や為替について正反対の主張を行っている。
トランプ氏は以前からFRBのジェローム・パウエル議長を激しく罵るなどFRBを敵視しており、自身が大統領に就任した場合、FRBに対して利下げを求めるとしている。
為替政策については、自国通貨安を誘導しているとして日本に矛先を向けており、米製造業を守るためドル安にすると繰り返し主張してきた。