真の狙いは「世界支配」...トランプを「神に選ばれし者」と信じるキリスト教右派の集会を覗いてみたら【潜入ルポ】

Trump as God’s Chosen One

2024年10月22日(火)18時11分
モリー・オルムステッド(スレート誌記者)
トランプ前大統領を「神に選ばれし者」として信じる人々

ILLUSTRATION BY LOGAN GUOーSLATE

<トランプ暗殺未遂事件は「予言されていた」──なぜ福音派の人々は、3回の結婚歴があり女癖も悪い億万長者を崇め始めたのか>

ミトンの形をしたアメリカ・ミシガン州の親指部分で、ある蒸し暑い夕方、預言者を名乗る人物が白いテントの下で700人のキリスト教徒に保証した。あなた方は死を逃れられる、と。

どうやって? 米大統領選の激戦州であるこの州で、共和党の大統領候補ドナルド・トランプ前大統領を勝たせることで、だ。


理由は単純明快。ここに集まったキリスト教徒は全員、このテントから出る頃にはトランプ陣営の選挙戦を手伝うことを自らの使命とするようになる。その任務に取り組んでいる間は死ぬ心配はない。神は自らが与えた使命を果たすまで、そのしもべを天に召すことはないからだ。

「死が迎えに来たら、自分にはまだ果たすべき使命があると言えばいい」──自称預言者のランス・ウォルナウは聴衆にそう教えた。

11月の大統領選本選を控え、激戦州を回って宗教イベントを催す「勇気のツアー」。ここミシガン州ハウエル郊外は3つ目の巡回先だ。

ツアーを主催するウォルナウはテキサス州在住の60代。セールストークが得意なキリスト教福音派の伝道師だ。3日間にわたるイベントは、戦いへの呼びかけであり、選挙戦略会議であり、そして何より古風なペンテコステ派のテント集会である。

このイベントはまた、アメリカのキリスト教徒の間で急速に勢力を拡大しつつある好戦的な宗教右派のパワーを見せつける場ともなった。

展覧会
奈良国立博物館 特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」   鑑賞チケット5組10名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

午後3時のドルは150円半ば、株高で円じり安

ビジネス

シカゴ連銀総裁、1年後の金利低下見込む 不確実性も

ワールド

退院のローマ教皇、一時は治療打ち切りも検討 担当医

ビジネス

インタビュー:ドル円は120円台が実力か、日本株長
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取締役会はマスクCEOを辞めさせろ」
  • 4
    「トランプが変えた世界」を30年前に描いていた...あ…
  • 5
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 6
    トランプ批判で入国拒否も?...米空港で広がる「スマ…
  • 7
    「悪循環」中国の飲食店に大倒産時代が到来...デフレ…
  • 8
    【クイズ】アメリカで「ネズミが大量発生している」…
  • 9
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 10
    老化を遅らせる食事法...細胞を大掃除する「断続的フ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
  • 10
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中