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シンワール殺害で終結は間近か? ガザ戦争の行方とネタニヤフの選択

A Chance for Peace?

2024年10月23日(水)11時30分
フレッド・カプラン(スレート誌コラムニスト)

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イスラエル軍の爆撃で倒壊したガザの小学校(今年10月10日) MAJDI FATHIーNURPHOTOーREUTERS

シンワールはハマスを体現する存在だった。その殺害をもって、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相らは、自分たちの戦略が正しかった証拠だと声高に主張するのか。あるいはアメリカなどの圧力を受けて、今後は停戦プロセスに注力するのか。

ハマスは消えていない

著名ジャーナリストのボブ・ウッドワードは新著『戦争』で、ホワイトハウスのブレット・マガーク中東政策調整官の言葉を紹介している。いわく、ここ数カ月に何度となく開かれた停戦に向けた協議で、エジプトやカタールに住むハマスの政治部門の報道官は何度か、停戦合意を大筋受け入れたが、最終決定権を持つシンワールが頑として首を縦に振らなかったという。


それが本当なら、シンワールなき今、これまでハマスの対外窓口だった幹部らが、指導者の役割を担うかもしれない。そうなれば、エジプトなどイスラム教スンニ派のアラブ諸国、とりわけサウジアラビアの指導者たちも、ガザの復興と、ガザの境界線の治安確保を申し入れる可能性がある。そして、こうした要素が全て交渉のテーブルにのれば、ネタニヤフも和平交渉に参加するかもしれない。

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