最新記事
インドネシア経済

インドネシア新政権は「8%成長」を目指すが......

Rania Teguh: Prabowo’s 8% Growth Gamble: Reform or Bureaucratic Bloat?

2024年10月21日(月)12時23分
ラニア・テグー
大統領選の勝利を喜ぶプラボウォの支持者

大統領選の勝利を喜ぶプラボウォの支持者(今年4月、ジャカルタ) AP/AFLO

インドネシアのプラボウォ新大統領(10月20日に就任式)は、1期目に年間8%の経済成長を実現し、2045年までの高所得国入りを目指す野心的目標を掲げた。

だが、プラボウォのアプローチは既に目標とずれているようにも見える。先日決まった内閣の拡大は省庁の数を44に増やすもので、内閣の任用ポストは計100人近くに膨れ上がる。


制度改革と効率化に対する新政権の本気度が疑わしくなる動きだ。大統領選での支援に対する政治的見返りの印象が拭えない。

プラボウォの成長目標を達成するには制度改革が不可欠だ。競争力、透明性、イノベーションを促進する構造改革と行政機構の効率化がかつてなく求められている。だが、官僚機構の肥大化は行政コストの増大と意思決定の遅れを招きかねない。

気がかりなのは、経済的繁栄の重要指標である中間層がここ数年、縮小し始めていることだ。インドネシア中央統計庁(BPS)によると、全人口に占める中間層の割合は、19年の22%から23年には17%まで減少した。

この傾向は新型コロナ危機の前から始まっている。正規部門の賃金の伸び悩みから格差拡大まで、インドネシア経済が直面するより広範な課題を反映した数字だ。

中間層は消費の主役として商品やサービスの需要を生み出し、政治的安定に寄与する存在だ。その減少は消費の低迷に加え、より広範な社会の不安定化リスクを高める。

社会的価値創造
「子どもの体験格差」解消を目指して──SMBCグループが推進する、従来の金融ビジネスに留まらない取り組み「シャカカチ」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起

ワールド

トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル

ビジネス

米財務長官にベッセント氏、不透明感払拭で国債回復に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 7
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中