最新記事
インドネシア経済

インドネシア新政権は「8%成長」を目指すが......

Rania Teguh: Prabowo’s 8% Growth Gamble: Reform or Bureaucratic Bloat?

2024年10月21日(月)12時23分
ラニア・テグー

その意味で中間層の成長を支える産業、特に製造業やサービス業の雇用創出は極めて重要だ。しかし、インドネシアの製造業は1990年代の勢いをなかなか取り戻せない。

省庁の増加が懸念を呼ぶ大きな理由の1つは厳しい財政事情だ。対GDP比の政府債務残高は着実に増加しており、プラボウォはさらに増やすと公約している。


財政問題の対処法の1つは歳入の増加、特に税制改革だ。インドネシアの対GDP比の税収率は長年10%前後の低率にとどまっている。

プラボウォが目指す16%を達成するには課税基盤の拡大、特に労働人口の60%近くを占める非正規部門の正規化が決定的に重要だ。税収増に加え、雇用の安定や社会保障の対象拡大も期待できる。

ただし、それと同時に歳出の効率化も欠かせない。例えば、燃料補助金は長年にわたり国家予算の重荷になってきた。ジョコ前大統領は補助金の大幅削減を断行したが、教育、医療、社会的弱者への直接補助など、より生産性の高い分野に支出を振り向けるための改革がさらに必要だ。

長期的な成長を達成するためには、財政だけでなくグローバル経済への統合も不可欠だ。新政権はより多くの海外直接投資(FDI)を引き付けるために、国際貿易基準に合わせたルール作りを優先させる必要がある。

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震、インフラ被災で遅れる支援 死者1万

ビジネス

年内2回利下げが依然妥当、インフレ動向で自信は低下

ワールド

米国防長官「抑止を再構築」、中谷防衛相と会談 防衛

ビジネス

アラスカ州知事、アジア歴訪成果を政権に説明へ 天然
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中