最新記事
中東

イスラエル軍、レバノン国連施設の正門を破壊し侵入 国連「国際法違反、戦争犯罪に当たる可能性」

2024年10月14日(月)14時42分
イスラエル軍の戦車

国連は13日、イスラエル軍の戦車2台が同日、レバノン南部にある国連レバノン暫定軍(UNIFIL)の拠点の正門を破壊し、敷地内に侵入したと発表した。写真はイスラエル軍の戦車。レバノン南部で撮影(2024年 ロイター/Artorn Pookasook)

国連は13日、イスラエル軍の戦車2台が同日、レバノン南部にある国連レバノン暫定軍(UNIFIL)の拠点の正門を破壊し、敷地内に侵入したと発表した。

戦車が撤退した後、約100メートル離れた場所で砲弾が爆発して煙が広がり、UNIFIL隊員が体調不良になったという。

一方、イスラエル軍はレバノンの親イラン武装組織ヒズボラがイスラエル軍に向けて対戦車ミサイルを発射し、25人が負傷したと発表。攻撃はUNIFIL拠点近くで起き、負傷者の救出に当たっていた戦車が砲火を浴びたためUNIFIL拠点に後退したと説明した。

また、負傷兵を避難させるため煙幕を使用したが、UNIFILに危険は及ぼしていないとした。

イスラエルのネタニヤフ首相は国連のグテレス事務総長に向けた声明で「UNIFILをヒズボラの拠点や戦闘地域から撤退させる時だ」と訴え、「イスラエル軍は(撤退を)何度も要求してきたが、繰り返し拒否されてきた」と述べた。

ドゥジャリク国連事務総長報道官はUNIFILを標的にしてはならないと改めて警告。「平和維持部隊への攻撃は国際人道法を含む国際法への違反で、戦争犯罪に当たる可能性がある」と述べた。

イタリアのメローニ首相は13日、ネタニヤフ氏と電話会談し、イスラエル軍によるUNIFIL拠点への攻撃は「容認できない」と抗議した。フランスやスペインも攻撃を非難している。

<イスラエル北部に無人機攻撃、兵士4人死亡>

こうした中、ヒズボラは13日、イスラエル北部ビンヤミナにあるイスラエル軍ゴラニ旅団の施設を「多数の無人機」で攻撃したと発表した。一部はイスラエルの防空レーダーを突破したという。

イスラエル軍は兵士4人が死亡、7人が重傷を負ったと発表。攻撃について調査中としている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250225issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国副首相が米財務長官と会談、対中関税に懸念 対話

ビジネス

アングル:債券市場に安心感、QT減速観測と財務長官

ビジネス

米中古住宅販売、1月は4.9%減の408万戸 4カ

ワールド

米・ウクライナ、鉱物協定巡り協議継続か 米高官は署
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中