最新記事
米外交

「アメリカは4年前より地政学的に強くなった」って、ジョークですか?

US in much strong geopolitical position today than 4 years ago: Blinken

2024年10月3日(木)19時10分
ジーザス・メサ

中国は長年、共和党と民主党の歴代の米政権が他の事柄にかまけているのを良いことに、着々と影響力を拡大してきたと、ジョージ・ワシントン大学メディア・国家安全保障プロジェクトを率いるトーム・シャンカーは本誌に語った。

「過去20年間、米政府の国家安全保障政策はイランとアフガニスタンにおける対テロ戦争一辺倒だった。そのことが戦略的な脅威としての中国の台頭を許す結果となった。アメリカの歴代政権がテロ対策に集中している間に、中国は粛々と影響力を広げ、アメリカの第一の脅威へとのし上がった」と、シャンカーは説明する。

ロシアが2022年にウクライナに侵攻すると、アメリカはNATOなどと対抗軸を築いたとブリンケンは言う。バイデン政権は「ウラジーミル・プーチン大統領の失地回復の目論見を疑わず、米ロ関係改善などという幻想は抱かなかった」と述べた。

ブリンケンは一連の同盟諸国との関係を、アメリカの地政学的な立場が強化された証拠として強調したが、あまりに多くの世界的な危機が深刻化しつつあるなか、その安定性には懸念の声もある。

核合意からの離脱は間違い

ブリンケンはロシア、イラン、北朝鮮や中国などアメリカと敵対する国同士がパートナーシップを強化していることを認め、この非公式な連合を「新たな悪の枢軸」と称した。9・11同時テロ後にジョージ・W・ブッシュ大統領(当時)がイラン、イラクと北朝鮮を「悪の枢軸」と呼んだことに倣ったものだ。

それでもブリンケンは、バイデン政権が同盟強化と多国間協力の促進に尽力してきたことで、新たに浮上しつつある脅威にも効果的に対抗することができるという楽観的な見方を示した。

ブリンケンが重点を置いたのは外交の重要性、そして国際問題において一方的な決定を避けることの重要性だ。彼はトランプ政権について頻繁に言及してはいないものの、トランプが「イラン核合意からの一方的で見当違いな離脱」を決定したことを批判した。

「アメリカが自国の安全を守り、国民のために機会を創出したいならば、自由で開かれた、安全で繁栄した世界の実現に関心を寄せる人々を支持し、そのような世界を脅かす者に立ち向かわなければならない」と彼は主張した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中