最新記事
米外交

「アメリカは4年前より地政学的に強くなった」って、ジョークですか?

US in much strong geopolitical position today than 4 years ago: Blinken

2024年10月3日(木)19時10分
ジーザス・メサ

「バイデン大統領と(カマラ・)ハリス副大統領は戦略を一新し、国内産業の競争力強化のために歴史的な規模の投資を行う一方で、同盟国や友好国との信頼関係を回復するため精力的な外交活動を展開した」

「アメリカは国力が低下し自信を失っていると見て、好き勝手に振る舞うライバル国の暴走を抑えるには、この二本立て戦略が最も有効だと、バイデンとハリスは見抜いたのだ」と、ブリンケンは論じている。

その論旨を支えるのは、バイデン政権が、先端の半導体など科学技術分野に巨額の補助金を投じる「CHIPSおよび科学法」と物価の高騰に対処する「インフレ抑制法」を通じて、国内産業の振興に思い切った投資を行ったことで、アメリカの製造業が息を吹き返し、米経済に対する世界の信頼が高まったという認識である。

アメリカは「対内直接投資残高」で世界第一位であり、アメリカで半導体や電気自動車(EV)を生産するため、サムスンやトヨタなど名だたるグローバル企業が多額の投資を行っていると、ブリンケンは指摘する。

ブリンケンによれば、その一方でバイデン政権は同盟関係の再構築にも取り組んだという。トランプに代わってバイデンが政権の座に就いた時点では、ヨーロッパの主要な同盟国は「アメリカ頼み」から脱却し、中国、ロシアと経済関係を深めようとしていた、というのだ。

NAT0は大きく強くなった

バイデン政権時代にNATOは拡大し、アメリカは日本、韓国、オーストラリアなどの同盟国との軍事協力を強化。この4年間でアメリカは世界各国とより強固なパートナーシップを築くことができた、とブリンケンは主張する。

ブリンケンはまた、フィンランドとスウェーデンがNATOに加盟したことを挙げ、「バイデン政権の戦略は、NATOをより大きく、より強く、より団結した機構にすることに貢献した」と宣言している。

ブリンケンによれば、アメリカにとって長期的に見て最も重要な競争相手は中国であり、バイデン政権は中国の影響力拡大に対抗する具体的な措置を取ってきた。中国企業がアメリカの高度な技術にアクセスすることを制限する一方で、インド太平洋地域の国々との軍事協力の枠組みを強化した。

「私たちはアメリカの最も進んだ技術を断固として守る措置を取ってきた。不公正な経済慣行からアメリカの労働者と企業と地域を守り、中国の対外的な攻撃姿勢と国内における抑圧強化を押しとどめるため、あらゆる手立てを尽くしてきた」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中