最新記事
モンゴル

なぜモンゴルはプーチンを逮捕できなかったのか?...「強者はやりたい放題、弱者はやられ放題」

2024年9月9日(月)12時40分
テルメン・アルタンシャガイ
モンゴルを訪問したプーチン大統領

プーチンのモンゴル訪問では首脳会談も行われた VYACHESLAV PROKOFYEVーSPUTNIKーPOOLーREUTERS

<モンゴルは中央アジアの民主主義の担い手を自負しているが、屈するしかないのか...>

「強者はやりたい放題、弱者はやられ放題」。古代ギリシャの歴史家トゥキュディデスの格言をモンゴルが証明した。

ロシアのプーチン大統領は9月2~3日、ノモンハン事件記念式典出席のため、モンゴルを訪問した。国際刑事裁判所(ICC)は昨年3月、ウクライナでの戦争犯罪容疑でプーチンに逮捕状を出しており、ICCの加盟国モンゴルには逮捕する義務がある。


だが、プーチンが拘束されることはなかった。背景には、ロシア頼みのエネルギー安全保障という事情がある。

モンゴルの石油製品の95%はロシア産で、輸入全体にロシアが占める割合は35%に上る。ウクライナ戦争で製油所などが攻撃されるなか、国内供給確保を理由に、ロシアは3月からガソリン輸出を禁止した(5月に禁輸解除を決定)。

だが一部友好国は例外で、モンゴルもその1つだった。モンゴルは中央アジアの民主主義の担い手を自負している。それでも、地政学的現実には屈するしかないようだ。

From thediplomat.com

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ニデック、差し止め求め仮処分申し立て 牧野フのTO

ワールド

WHO加盟国、パンデミック条約で合意 交渉3年余り

ビジネス

金価格、初の3300ドル台 貿易戦争で安全資産に買

ビジネス

日銀、25年度成長率下方修正の可能性 米関税措置受
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気ではない」
  • 2
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ印がある」説が話題...「インディゴチルドレン?」
  • 3
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 4
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 5
    NASAが監視する直径150メートル超えの「潜在的に危険…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「話者の多い言語」は?
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 10
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 3
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 6
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 7
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 8
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 9
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 10
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中