最新記事
ウクライナ戦争

強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロシア陣地への恐るべき攻撃の様子...映像を公開

How Ukraine Is Retrofitting Its Drones as Aerial Flamethrowers

2024年9月7日(土)13時48分
ジーザス・メサ
ウクライナのテルミット焼夷弾がロシア軍を攻撃

@Osinttechnical/X

<焼夷弾に使用されるテルミットにより、強烈な炎を吐きかけるような攻撃を行うドローンをウクライナ軍が使用。身を隠すロシア部隊に襲いかかる映像を公開した>

ウクライナ軍が、火炎放射器のように強烈な炎を吐く新型ドローン兵器の配備を開始し、恐るべき攻撃の様子を捉えた映像を公開した。ウクライナ第108独立領土防衛旅団が共有した映像からは、このドローンが林に隠れたロシア部隊に向けて「テルミット」の焼夷弾を放ち、炎の攻撃を受けた地点から大きな煙が立ち上る様子を見ることができる。

■【動画】林に身を隠すロシア部隊を、上空から「強烈な炎」で焼き払う「新兵器ドローン」...衝撃の攻撃映像

映像からは、テルミットによって敵陣を焼き払う改造ドローンの破壊能力がわかる。テルミットとはアルミニウムと金属酸化物の混合物であり、着火すると発熱して溶岩の2倍相当の約2200度に達する。白リン弾やナパーム弾よりも殺傷能力が低いとされるが、ウクライナ軍事センターによればテルミットは車両の装甲をも溶かし得るという。

ウクライナの複数のテレグラムチャンネルによれば、この戦闘映像はウクライナ東部のドネツク州で撮影されたものだという。同州ではロシア軍が進軍を続けており、ウクライナ軍の重要な兵站拠点であるポクロウシクに向かっている。

具体的なドローンのモデルは不明だが、戦争ブロガーらは、ドローンの視点からの映像から、大型のFPV(一人称視点)ドローンであると指摘している。

ウクライナ戦争におけるドローン兵器の大きな進化

OSINT(オープンソース・インテリジェンス)アカウントのOSINTテクニカルはX(旧ツイッター)で、ウクライナの戦況を伝える複数のテレグラムアカウントが投稿した動画を共有。「ウクライナ東部で、ウクライナのドローンがロシア陣地の森林をテルミット焼夷弾で焼き払っている」と説明している。

この戦術は、ウクライナとロシアの紛争におけるドローン使用の重大な進化と見られており、ウクライナにとっては、ロシア軍兵士が隠れることの多い東部の森林地域への攻撃が可能になる。

テルミット兵器はウクライナのドローン操縦士の間で、特に放棄されたロシア車両を破壊する際に使用されるようになっていると一部の専門家は指摘している。兵器としては効果範囲が狭いため、焼夷弾としては限界がある。瞬時に燃焼する他の焼夷弾とは異なり、テルミット反応は狭い範囲を長時間かけて高温に加熱する。

「火炎放射ドローン」は、飛行しながらテルミット反応によって溶けた鉄をまき散らし、白熱した炎の雨を降らせる。兵士が壕の中にいたり、ヘルメットや防護服を着用していたりする場合は、見上げなければ通常は安全だが、主なリスクは火災によるものだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日鉄のUSスチール買収、審査手続きは進行中=米ホワ

ワールド

ブラジル中銀、2年ぶり利上げ インフレリスクに対応

ビジネス

SEC、株式「呼び値」最小単位縮小を全会一致で採択

ビジネス

海外勢の米国債保有、7月は過去最高 日本の保有高は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁断の韓国ドラマ」とは?
  • 2
    「ポケットの中の爆弾」が一斉に大量爆発、イスラエルのハイテク攻撃か
  • 3
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 4
    クローン病と潰瘍性大腸炎...手ごわい炎症性腸疾患に…
  • 5
    浮橋に集ったロシア兵「多数を一蹴」の瞬間...HIMARS…
  • 6
    「トランプ暗殺未遂」容疑者ラウスとクルックス、殺…
  • 7
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 8
    地震の恩恵? 「地震が金塊を作っているかもしれない…
  • 9
    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「…
  • 10
    岸田政権「円高容認」の過ち...日本経済の成長率を高…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 4
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 5
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 6
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁…
  • 7
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 8
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰…
  • 9
    ウィリアムとヘンリーの間に「信頼はない」...近い将…
  • 10
    世界に離散、大富豪も多い...「ユダヤ」とは一体何な…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 4
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 5
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 6
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 7
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 8
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 9
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじ…
  • 10
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中