最新記事
ウクライナ戦争

森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン」がロシア陣地を襲う衝撃シーン

Ukrainian Drone Showers Russian Positions With 'Molten Thermite': Video

2024年9月3日(火)20時25分
イザベル・バンブルーゲン
ロシア軍によるウクライナ侵攻のシンボルとして有名になった「Z」の文字がペイントされた車両

ロシア軍によるウクライナ侵攻のシンボルとして有名になった「Z」の文字が大きくペイントされた車両(2023年11月10日、ウクライナ・ルハンシク州) zef art-Shutterstock

<劣勢が続いているとされるウクライナ東部で撮影か>

ウクライナ戦争に関して発信するアカウントの主張によると、ソーシャルメディア上で広まっている映像は、ウクライナのドローンがロシア軍の陣地に火炎放射を行う様子をとらえたものだという。

【動画】森に降り注ぐ「炎の雨」...ウクライナの「火炎放射ドローン」がロシア陣地を襲う衝撃シーン

OSINT(オープンソース・インテリジェンス)アカウントのOSINTテクニカルはX(旧ツイッター)で、ウクライナの戦況を伝える複数のテレグラムアカウントが投稿した動画を共有。「ウクライナ東部で、ウクライナのドローンがロシア陣地の森林をテルミット焼夷弾で焼き払っている」と説明している。

サイエンス・チャンネルによれば、テルミットはアルミニウムと金属酸化物の混合物で、着火すると発熱し、溶岩の2倍相当の約2200度に達する。ウクライナ軍事センターは、テルミットは車両の装甲をも溶かし得ると伝えている。

ウクライナ軍は、2022年2月に始まった全面戦争における前線での衝突を映したドローンの戦闘動画を定期的に公開している。

今回の動画がいつどこで撮影され、誰が最初に公開したかは明らかになっていない。

ウクライナの複数のテレグラムチャンネルによれば、この戦闘映像はウクライナ東部のドネツク州で撮影されたものだという。同州ではロシア軍が進軍を続けており、ウクライナ軍の重要な兵站拠点であるポクロウシクに向かっている。

ロシア軍は2014年にウクライナ東部に最初に侵攻して以来、ドネツク州とルハンシク州から成るドンバス地方の占領を推し進めてきた。

ウクライナ戦争関連の記事を英訳する独立系のプロジェクト@wartranslatedのドミトリはXで、このドローンは第3独立強襲旅団第2機械化大隊の衛生部隊のものだと述べている。「テルミット焼夷弾を搭載した一人称視点(FPV)ドローンが、前線の一つでロシアの陣地を破壊している」

米シンクタンクの戦争研究所(ISW)は9月1日、ウクライナ戦争の最新分析で、ロシア軍はこの地域で攻勢を続けており、直近はポクロウシクの方面に前進していると報告。

「9月1日に公開されたジオロケーション映像によれば、ロシア軍は直近でミハイリウカの西部とドリニウカ中心部(いずれもポクロウシクの南東)に進軍しており、ロシア軍が一帯の集落を掌握した可能性が高いと考えられる」と、ISWは述べている。

ISWは先週、ロシアは現在進行中のポクロウシク攻略作戦の一環として、「2つの直接的な戦術行動を遂行している」と述べていた。

フォーブスは8月30日、ポクロウシクを防衛しようとするウクライナはロシアが一帯で攻勢をかけるなか、約2000人の兵士で構成されるカラダグ旅団を配備したと報じている。

(翻訳:ガリレオ)

20250121issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中