最新記事
ハラスメント

「NewJeansはパワハラ被害者!」 親会社HYBEマネージャーによる無視に韓国市民団体が主張

2024年9月13日(金)22時08分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
緊急生配信を行ったNewJeansのメンバーたち

緊急生配信を行ったNewJeansのメンバーたち YTN / YouTube

<韓国の労働基準法で「いじめ」は「身体的·精神的苦痛を与えたり勤務環境を悪化させる行為」>

NewJeans所属事務所ADORの代表でグループの生みの親として知られるミン・ヒジンが親会社HYBEと対立、解任されたことについて、12日夜、NewJeansメンバーが緊急生配信をYouTube上で行ったが、この中でメンバーのハニがHYBEのスタッフから「無視」と「いじめ」にあったと主張した。この点について事実ならば職場でのパワハラに相当するという意見が出ている。韓国メディアYTN、JTBCなどが報じた。

NewJeansメンバーのハニは11日、ユーチューブライブ放送で驚くべき内容を告白した。ハニによると、HYBE社屋の廊下で待機している時、他のアイドルグループが通りかかって互いに挨拶を交わしたが、そのグループの担当マネージャーにも挨拶をしたが無視され、さらにそのマネージャーがハニの目の前で担当するアイドルグループに「無視しろ」と発言をしたというのだ。

この発言はNewJeansのファンだけでなく、多くの人びとに衝撃を与えた。なかでも市民団体の「職場パワハラ119」は13日、報道資料を通じて「この担当マネージャーがハニの挨拶を無視し、他のアイドルたちにNewJeansメンバーの挨拶を無視することを指示したとすれば、業務上適正範囲を越えるいじめと見ることができる」と明らかにしました。

韓国の労働基準法では、職場内いじめ行為の要件は「職場での地位または関係などにおける優位性を利用すること」、「業務上の適正範囲を越えること」、「身体的·精神的苦痛を与えたり勤務環境を悪化させる行為であること」などだ。

この内「業務上適正範囲を越えること」に対して韓国雇用労働部は「上司や多数の職員が特定の職員と対話しなかったり、いじめをするいわゆる集団いじめ、または業務遂行過程で意図的な無視·排除などの行為」と規定している。

「挨拶を無視しろと指示したマネージャーとNewJeansのハニの所属事務所が違うならば、職場内いじめとして認められないのではないか」という韓国メディアの質問に「職場パワハラ119」は、「予算と定款、運営の独立性の有無などをみると、形の上だけ独立した法人であり、実質的には一つの会社における事業部の形態で運営されていると見れば、職場内いじめとして認められる余地がある」と説明した。

アイドルの労働権保障へ制度改革を

さらに「職場パワハラ119」はアイドルの労働権保障に向けて積極的な制度改善が必要だと指摘した。

この団体は今回のNewJeansに対するHYBEのパワハラ問題に留まらず、「労働部は芸能人を労働基準法上では所属事務所と雇用関係はないと判断している。しかし、アイドルが専属契約を結んだという理由をもって、彼らを労働関係法令の死角地帯に残しておくことが適切なのかは疑問」とアイドルの置かれた状況を批判。

また、「会社とアーティストが実際に対等な関係になるまでには相当時間がかかり、この過程で会社は相当期間優越な地位を維持しアイドルに強力な支配力を行使することになる。このような支配力はむしろ一般的な雇用関係よりさらに強力なものでありうる。アイドルと練習生は実質的に会社から強力な業務指示を受けて仕事をしながらも、各種暴力や労働搾取などの被害にあっても基本的な権利を保護されずにいる」と語った。

一方、NewJeansの所属事務所ADORの代表の座を追われたミン・ヒジンは、12日、代表理事解任を受け入れることはできないとし、社内理事再選任のための仮処分申請をソウル中央地方裁判所に提出した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国債価格が上昇、財務長官にベッセント氏指名で

ワールド

プラスチック条約、最後の政府間議始まる 米の姿勢変

ビジネス

米財務長官指名のベッセント氏、減税と関税が優先事項

ワールド

新たな貿易戦争なら欧米双方に打撃、独連銀総裁が米関
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 10
    「典型的なママ脳だね」 ズボンを穿き忘れたまま外出…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    2人きりの部屋で「あそこに怖い男の子がいる」と訴え…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中