最新記事
日本政治

大詰め自民党総裁選、声の専門家が読み解く「最有力候補」の本音と実力

The Secret of Voice

2024年9月25日(水)06時30分
山﨑広子(音楽・音声ジャーナリスト、「声・脳・教育研究所」代表)
自民

声は人類の歴史を変えてきた。自民党総裁選を制するのは誰の声? FRANCK ROBICHONーPOOLーREUTERS

<政治家の声は政治家を丸裸にする──声は、その人の心身状態や伝えたいこと、伝えたくないことを容赦なくさらけ出す。投開票が近づいた自民党総裁選挙の有力候補を専門家が分析すると、意外な実力と隠された本音が明らかに>

声は、驚くほど多くの情報を包含している。そして私たちは無意識のうちにその情報を受け取り、脳の奥深くで評価を下し、イメージをつくり上げている。

聴覚は視覚に比べて無自覚な感覚器だ。目は閉じることができるが、耳は容易に閉じられない。無自覚だからこそ、声は人の感情や思考に直接働きかけることができるのである。声のトーン、リズム、スピードは、その人の心身状態や伝えたいこと、伝えたくないことを容赦なくさらけ出すし、声に込められた感情は、言葉の意味を超えて聴き手の心を動かしてしまう。これが声の影響力である。


声は誰にとっても大切なコミュニケーションツールだが、政治家にとっては特に重要な武器となる。歴史を動かした政治家たちは皆、声の力を巧みに利用してきた。声を通じて感情を揺さぶり、共感を呼び起こした......良くも悪くも。アドルフ・ヒトラー、ウィンストン・チャーチル、キング牧師など、その声の持つ影響力が人々を行動へと駆り立てたのだ。私たちは彼らの声を知ることで、その時代の人々が何を求めていたのかも理解することができる。

当然ながら現代の政治家たちも声の力を最大限に活用し、有権者の心をつかむことが求められている。このところ毎日のように耳に届く自民党総裁選の立候補者たちの声には何が表れているだろうか。5人を選んで分析してみたい。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン最高指導者、トランプ氏の攻撃警告に反発 「強

ビジネス

GPIF、25年度以降も資産構成割合維持 国内外株

ビジネス

フジHD、中居氏巡る第三者委が報告書 「業務の延長

ビジネス

米利下げは今年3回、相互関税発表控えゴールドマンが
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中