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革命防衛隊の「大失態」...ハマス指導者の暗殺という赤っ恥で、イランは本気で「中東大戦」に突き進む?

A COLOSSAL INTELLIGENCE FAILURE

2024年8月23日(金)18時15分
カスラ・アーラビ、ジェイソン・ブロツキー(いずれも米NPO「反核イラン連合」理事)

一気に核武装へ突き進むか

イスラエル側の軍事的優位、とりわけ防空能力の高さは明らかなので、通常の軍事的報復でイスラエルに有意な損害を与えることはできない。そうであれば、国外にいる非武装のイスラエル国民やユダヤ人を殺してイスラエル政府に圧力をかけるしかない──革命防衛隊がそう考える可能性は十分にある。

もう1つの可能性は、核兵器の開発を一段と加速することだ。例えばウラン濃縮度を、核爆弾への転用が可能な90%まで高める。それだけでも、首都テヘランでのハニヤ暗殺は「一線を越えた」行為だとイスラエル側に警告する効果はありそうだ。国際社会は何年も前から、イランの核開発を止める真剣な努力をしてこなかった。ならばここで一歩踏み出しても大した反発はあるまい。そういう計算も成り立つ。


いずれにせよ、現時点でイランの最高指導部が最も関心を寄せているのは自国の治安・諜報部門の再建だ。これだけの失態を繰り返してきた以上、ただでは済まされない。イスラエルに対する当座の報復攻撃が済んでからも、国軍や治安部隊に対する最高指導部の不信感は消えず、幹部の粛清が続くことだろう。

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