米軍、中東へ増派 イスラエルを守るためにイランと戦争か
中東に向かう空母エイブラハム・リンカーン。その甲板でバスケットボールが行われている写真(2022年) Orlando Ramirez-USA TODAY Sports
ヒズボラとハマスの幹部が相次いで殺され、イランはイスラエルに対して「厳しい報復」を誓った
米国防総省は8月2日、イスラエルを支援するため、中東に向けて戦闘機部隊や艦艇を追加派遣すると明らかにした。
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パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム系過激派組織ハマスの最高幹部と、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの大物司令官が相次いで殺害され、中東情勢は緊張の度を増している。
ハマスの政治局長であるイスマイル・ハニヤは7月31日、イランの首都テヘランで、滞在先の宿泊施設を狙った攻撃で死亡した。ハニヤはテヘランを訪れ、イランの新大統領の就任式に出席したばかりだった。
イランとハマスは、攻撃を行ったのはイスラエルだと非難しているが、イスラエルはこれまでのところ関与を認めていない。
ハニヤの死を受けて、イランの最高指導者アリ・ハメネイはイスラエルに対し、「厳しい罰が下るのを覚悟」せよと警告した。イラン革命防衛隊も3日、「適切な時と場所、そしてやり方で、厳しい」報復が行われるだろうとコメントを出した。
ハニヤの死の前日の30日には、レバノンの首都ベイルートへの攻撃で、ヒズボラの司令官フアド・シュクルが死亡した(イスラエルは攻撃を行ったことを認めている)。AP通信はレバノン保健省の話として、この攻撃で少なくとも5人の民間人が死亡したと伝えたほか、イランの司令官ミラド・ビディも巻き込まれて死亡したという。
「報復で殉教者の血をあがなう」
1日に行われたシュクルの葬儀では、ヒズボラの最高指導者ハッサン・ナスララが、イスラエルとハマスの間の戦争は「新たな段階」に進むだろうと警告した。
ビディの葬儀の後の3日、革命防衛隊の幹部はイラン国営イスラム共和国通信に対し、「シオニストの敵に抵抗した殉教者たちの血をあがなうため、イランは報復を行うだろう」と述べた。
本誌はイスラエル政府に3日、電子メールでコメントを求めたが回答は得られなかった。
イランとレバノン、それぞれの国の首都で行われた「暗殺」により、中東の緊張は高まっている。3日、在レバノン米国大使館はレバノンに滞在する自国民に電子メールで注意喚起を行った。一部の航空会社は航空便の運航を停止したりキャンセルしているとして出国を促し、レバノンに残る場合は「非常事態を想定し、長期間にわたる自宅退避に備える」よう呼びかけた。
米国防総省の報道官は2日、国防総省が「イランおよびイランのパートナーやその代理勢力による中東地域の緊張激化の緩和に向けた」対応を取っていると述べるとともに、「イスラエル防衛への(アメリカの)強固な関与」をあらためて表明した。