最新記事
ウクライナ戦争

ロシアの防空システム「Tor」をHIMARSが爆砕する劇的瞬間...ドローン映像をウクライナが公開

HIMARS Eviscerate Russia's Tor Missile System: Video

2024年7月29日(月)20時35分
イザベル・バンブルーゲン
Tor-M2

戦勝記念日のパレードで披露された短距離防空ミサイルシステム「Tor-M2」(2018年5月9日、モスクワ) Andrey 69-Shutterstock

<攻撃の瞬間をとらえた動画には、巨大な爆発で煙が立ち上る様子が記録されている。ウクライナ軍はこれまでにもロシアの防空ミサイルシステム「Tor」を標的にしてきた>

ウクライナ東部のドネツク州で、ウクライナ軍の高機動ロケット砲システム(HIMARS=ハイマース)による攻撃が、ロシア軍の移動式短距離防空ミサイルシステム「Tor(トール)」を爆破したことを、ウクライナ軍の公開した戦闘映像が示している。

【ドローン映像】ロシアの防空システム「Tor」をHIMARSが爆砕する劇的瞬間

この空撮映像は、第79独立空中強襲旅団によってテレグラムに投稿された。同旅団は、ドローンを用いてロシアのTor防空ミサイルシステムのありかを突き止めた後に、アメリカから供与されたHIMARSでこのシステムを狙ったとしている。

HIMARSはウクライナに、ロシアの最も先進的な対空ミサイルシステムを破壊する能力を与えている。

ウクライナ軍は、このTorミサイルシステムはドネツク州で破壊されたと述べた。ドネツク州は隣接するルハンスク州と共にドンバス地域を形成している。ロシア軍は2014年、ウクライナ東部に最初に侵攻して以来、両州の完全制圧を目指し、攻勢を強めてきた。

アメリカのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)によると、Torシステムは最長で10マイル(約16キロ)離れた標的を迎撃できる能力を持つという。

「我々の偵察隊がドローンで、ドネツク市の『ドンバス・アリーナ』を調査し、ロシアの対空ミサイル複合体『Tor』を発見した。HIMARSが直ちにこの兵器のある場所を爆撃した」と、同旅団は述べ、戦闘の様子を収めた映像を共有した。

この動画では、ミサイルシステムのTorが爆撃を受け、巨大な爆発が起きて煙が立ち上っている様子が確認できる。

「加えてこれらの映像には、ロシアの『カミカゼ・バイカーズ(バイクで突撃する部隊)』や燃え上がる敵の戦車、爆弾の金属片で負傷した占領者たちが映っている。我々の防御を破ろうとする敵軍による企てはまたしても失敗に終わった」と、同旅団は綴っている。

同旅団はさらにこう続けた。「プーチンの『特別作戦』はまさに計画通りに進んでいる。つまり、我々の空挺部隊の計画通りという意味だ。戦士たちに栄光あれ! 素晴らしい仕事ぶりだ!」

この映像がいつどこで撮影されたかを本誌は独自に確認することができなかった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

金正恩氏「大型艦の保有近い」 海軍力強化の重要性強

ワールド

ベネズエラ野党候補、スペインに出国 扇動容疑で逮捕

ワールド

フランス全土でデモ、マクロン氏の首相選出に抗議

ビジネス

景気懸念再燃、ボラティリティー上昇も=今週の米株式
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本政治が変わる日
特集:日本政治が変わる日
2024年9月10日号(9/ 3発売)

派閥が「溶解」し、候補者乱立の自民党総裁選。日本政治は大きな転換点を迎えている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 2
    【現地観戦】「中国代表は警察に通報すべき」「10元で7ゴール見られてお得」日本に大敗した中国ファンの本音は...
  • 3
    「令和の米騒動」その真相...「不作のほうが売上高が増加する」農水省とJAの利益優先で国民は置き去りに
  • 4
    メーガン妃の投資先が「貧困ポルノ」と批判される...…
  • 5
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 6
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 7
    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆…
  • 8
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 9
    メーガン妃が自身の国際的影響力について語る...「単…
  • 10
    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…
  • 1
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 2
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン」がロシア陣地を襲う衝撃シーン
  • 3
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 4
    中国の製造業に「衰退の兆し」日本が辿った道との3つ…
  • 5
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 6
    死亡リスクが低下する食事「ペスカタリアン」とは?.…
  • 7
    大谷翔平と愛犬デコピンのバッテリーに球場は大歓声…
  • 8
    再結成オアシスのリアムが反論!「その態度最悪」「…
  • 9
    【現地観戦】「中国代表は警察に通報すべき」「10元…
  • 10
    エルサレムで発見された2700年前の「守護精霊印章」.…
  • 1
    ウクライナの越境攻撃で大混乱か...クルスク州でロシア軍が誤って「味方に爆撃」した決定的瞬間
  • 2
    寿命が延びる「簡単な秘訣」を研究者が明かす【最新研究】
  • 3
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 4
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 5
    ハッチから侵入...ウクライナのFPVドローンがロシア…
  • 6
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 7
    日本とは全然違う...フランスで「制服」導入も学生は…
  • 8
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 9
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
  • 10
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中