最新記事
世界経済

イギリスの富裕層減少、日本他は増加見込み...対ロ制裁や税制が影響=調査

2024年7月11日(木)13時15分
ロンドン

スイスの世界的銀行大手UBSは7月10日、ドル建て換算で100万ドル以上の資産を持つ富裕層の世界動向をまとめた2024年版「グローバル・ウェルス・レポート」を発表し、英国の富裕層は2028年までに6人に1人程度の割合で減少するとの見通しを明らかにした。昨年7月、ロンドンで撮影(2024年 ロイター/Yann Tessier)

スイスの世界的銀行大手UBSは10日、ドル建て換算で100万ドル以上の資産を持つ富裕層の世界動向をまとめた2024年版「グローバル・ウェルス・レポート」を発表し、英国の富裕層は2028年までに6人に1人程度の割合で減少するとの見通しを明らかにした。

同調査によると、英国の富裕層は昨年、計306万1553人いたが、28年に17%減の254万2464人に落ち込む見通しだ。


 

記者会見したUBSグローバル・ウェルス・マネジメントのチーフエコノミスト、ポール・ドノバン氏は、英国は富裕層が世界で3番目に多いが「不釣り合いだ」と指摘。過去数年間の対ロシア制裁の影響で今後は離英するケースが増えるとの見通しを示した。また、英国に居住する外国人富裕層に対する優遇税制「ノン・ドム・ステータス」の廃止決定も一因という。

さらに「世界の億万長者は絶えず税率の低い国を探して移動している」と指摘し、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイやシンガポールを移動先の例に挙げた。

同調査によると、オランダも減少見込みで、昨年は123万1625人いたが、4%減の117万9328人となりそうだ。

富裕層の減少見込みの英国とは逆に増加しそうな国としてUBSが挙げたのが米国で、28年までに16%増加するという。ドイツは14%増、フランスも16%増、日本では28%増、スペインで12%増、イタリアで9%増がそれぞれ見込まれる。

調査は56市場を対象とした。増加率が最大だったのは台湾で、半導体産業の拡大を背景に47%増の見通しという。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250401issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月1日号(3月25日発売)は「まだ世界が知らない 小さなSDGs」特集。トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ゼレンスキー氏「黒海・エネルギー停戦即時発効」、ロ

ワールド

ロシア大統領府、黒海の安全航行確保などの合意を確認

ワールド

ウクライナ、米仲介の対ロ停戦合意を支持=国防相

ワールド

米アップル、ブラウザー巡るEUの制裁金を回避の見込
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取締役会はマスクCEOを辞めさせろ」
  • 4
    「トランプが変えた世界」を30年前に描いていた...あ…
  • 5
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 6
    トランプ批判で入国拒否も?...米空港で広がる「スマ…
  • 7
    「悪循環」中国の飲食店に大倒産時代が到来...デフレ…
  • 8
    【クイズ】アメリカで「ネズミが大量発生している」…
  • 9
    老化を遅らせる食事法...細胞を大掃除する「断続的フ…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 5
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 6
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
  • 10
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中