最新記事
日本社会

選択的夫婦別姓に「賛成」半数、9割が「機運十分でない」=最新調査

2024年7月18日(木)14時00分
東京スカイツリー

7月18日、7月のロイター企業調査で選択的夫婦別姓について聞いたところ、賛成が5割、反対が1割だった。写真は2021年8月、東京スカイツリーで撮影(2024年 ロイター/Marko Djurica)

7月のロイター企業調査で選択的夫婦別姓について聞いたところ、賛成が5割、反対が1割だった。女姓の働きやすさや職場の多様性を賛成の理由に挙げる声が聞かれたが、導入に向け社会全体の理解が進んでいるかとの問いには9割が十分でないと回答した。

調査は7月3日─7月12日。調査票発送企業は506社、回答社数は246社だった。


 

「賛成」「どちらかと言えば賛成」は25%ずつを占めた。「反対」は5%、「どちらかといえば反対」は6%だった。「どちらとも言えない」との答えも26%あった。

賛成と回答した企業からは、「ダイバーシティを推進する上で、個々のアイデンティティを尊重できるよう同姓、別姓の選択の自由を与えるべき」(窯業)、「当然の時代の要請と考える。夫婦同姓・夫婦別姓を選べることで生き方・働き方の幅が広がる」(鉄鋼)、「ジェンダーフリーの観点から本来推進していくべきものと考えている」(小売)など多様性、選択肢の広がりを理由に挙げるコメントが目立った。

「職場における女性の仕事のやりやすさ」(輸送用機器)、「女性の労働参加率増加にも好影響がある」(機械)、「業務上氏名が変わると支障が出ることがあるため」(建設)など、女性が働きやすい環境整備の必要性を指摘する声もあった。

一方、反対と答えた企業からは「家族の一体感がなくなる」(卸売)、「子どもの姓と不統一になる」(電機)、「日本古来の家族制度の崩壊」(機械)などの声が聞かれた。「戸籍の問題とは切り離して、日常のサービスで困らないよう旧姓での登録や併記が可能なサービスを拡充していくという手段もある」(精密機械)との意見もあった。

夫婦が望めば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けることを可能とする選択的夫婦別姓制度は、1996年に法制審議会が導入に向けた民法改正案を法相に答申して以来、幾度となく議論されてきたが実現していない。

「女性の活躍を阻害している」として経団連が6月に制度化の早期実現を求める政策提言をまとめ、今回のロイター調査でも企業の半数が賛成したが、「制度に対して国民の理解が深まり、実現の機運は高まっているか」との質問には、93%が「高まっていない」「それほど高まっていない」「高まっているが十分ではない」と回答した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20241126issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

輸出規制厳格化でも世界の技術協力続く=エヌビディア

ビジネス

ラトニック氏の金融会社がテザーと協議、新たな融資事

ビジネス

米、対中半導体規制強化へ 最大200社制限リストに

ワールド

ヒズボラ、テルアビブ近郊にロケット弾 ベイルート大
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    2人きりの部屋で「あそこに怖い男の子がいる」と訴え…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中