中国が鳴り物入りで開いた3中全会は、壮大な「ゴミ時間」だった
XI’S “GARBAGE TIME”
中国人の間で流行る自虐ワード「ゴミ時間」
習の好みだが、失敗が証明された毛沢東型発展モデルと、中途半端な鄧小平の改革モデルの間で中国は立ち往生している。それに加えて、西側諸国との関係冷却化も中国にとって痛手になっている。新型コロナ問題と、中国による大掛かりな浸透工作および知的財産権の侵害が明らかになったことを受けて、一時は友好的だった西側諸国が中国への敵対姿勢を強めているのだ。
中国国民の中には出口のない状況を感じ取り、自国の現状を「歴史的ゴミ時間」と表現する人たちが現れている。この「ゴミ時間」とは、スポーツの試合で挽回不能な大量リードを許してしまい、プレーヤーがやる気をなくし、観客も早々と帰路に就き、試合終了を待つだけの時間帯のことだ。この言葉を使う人たちは、中国の現体制に愛想を尽かしていると言えるだろう。
習は賢い人間だ。イソップの「山のお産」の話は聞いたことがないとしても、自分がやろうとしていることに、中国の停滞を打破する効果がないことは分かっているはずだ。7月の3中全会は壮大な「ゴミ時間」でしかなかったとみるべきだろう。
練乙錚
YIZHENG LIAN
香港生まれ。米ミネソタ大学経済学博士。香港科学技術大学などで教え、1998年香港特別行政区政府の政策顧問に就任するが、民主化運動の支持を理由に解雇。経済紙「信報」編集長を経て2010年から日本に住む。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら