腹ぺこコアラ「クロード」が教えてくれた環境問題
Conniving Koala Leads Friends Past Security to Eat Thousands of Plants
(写真はイメージです) Gilles Rolland-Monnet-Unsplash
<苗木盗難劇で浮き彫りになるコアラの生息地問題>
「クロード」の愛称で親しまれている腹ぺこのコアラが、植物の苗木を奪いに再び種苗場を訪れ、今度は仲間も連れてきた。
クロードは昨年、コアラの保護生息地に送られる予定だった3800ドル(約59万円)相当のユーカリの苗を、真夜中にむしゃむしゃと食べて追放された。
そして先ごろ、ヤツは再び姿を現し、白昼堂々と苗木を盗んでいる。
クロードによる最初の強盗から数カ月後、オーストラリアのニューサウスウェールズ州にあるイースタン・フォレスト・ナーセリーのオーナー、ハンフリー・ヘリントンは、苗木の周囲にコアラ防止用の防御策を施した。だが効果はなく、園内には少なくとも12頭以上のコアラが侵入したという。
コアラはオーストラリアで最もポピュラーな有袋類で、ほとんどの時間をユーカリの木の上で座って食事をして過ごす。2022年現在、オーストラリア首都特別地域、ニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州では絶滅危惧種であり、国際自然保護連合のレッドリストでは絶滅危惧種に指定されている。
生息地全域で大規模な山火事が発生したほか、都市化や農業による生息地の破壊やクラミジアなどの病気が原因で、近年急速に個体数が減少している。生息地を保護し、個体数を管理するために、さまざまな保護プログラムが実施されている。
ヘリントンによると、クロード率いるコアラの集団は数千本の苗木を食べ尽くし、周辺の木々も荒らしてしまった。
「おそらく15年前にナーセリーで植えられたタラウッドの木は、その地域に1本しかなかった。コアラは本当にその木が好きなようだ。あの小さな土地にはコアラがたくさんいて、とても孤立していて、コアラの行き場がないんです」
費用はかかるが、少なくともクロードの話がコアラの窮状を世間に知らしめたことをヘリントンは喜んでいる。
「経済的な犠牲は多少あるにせよ、クロードが話題となったことで、コアラの絶滅危機に対する世間の認識をさらに高められました」