最新記事
生物

登山者を悩ませる「ヒル」、実はジャンプできると判明! 100年の疑問を解決する「決定的瞬間」の動画

Video Reveals Blood-Sucking Leech Can Jump—May Help 'Attach to Hosts'

2024年6月23日(日)07時00分
ロビン・ホワイト
ヒルはジャンプできることが研究で明らかに

Inna Horosheva/Shutterstock

<ヒルはジャンプできるのか、それとも頭上の枝から落ちてくるだけなのか。長年の議論についに終止符を打つ「証拠」が提示された>

科学者たちは、少なくとも1種の陸生ビルが「ジャンプできる」ことを証明する動画撮影に成功した。アメリカ自然史博物館、フォーダム大学、ニューヨーク市立大学メドガー・エバーズ・カレッジの科学者たちが科学誌「Biotropica」に発表した。ヒルはジャンプできるのか──100年以上も続いてきた議論に、ようやく終止符を打つことができそうだ。

■【動画】山道でいつの間にか体に付く「ヒル」、なんとジャンプしていたことが判明...「決定的瞬間」を研究者が撮影

今回の発見は、これまであまり注目されてこなかった吸血生物であるヒルの行動と生態について新たな洞察を提供するものだ。

論文の筆頭著者で米自然史博物館の客員研究員でありフォーダム大学の博士課程修了後研究員であるマイ・ファハミは声明の中で、「これはヒルがジャンプできること、それも明らかにエネルギーを消費してジャンプできることを示す、初めての説得力のある証拠だと確信している」と述べ、さらにこう続けた。

「これまでにも、人に飛び乗るなどヒルがジャンプするという報告はあった。だがそれらの報告は多くの場合、単に低木の脇をすり抜ける人の体にくっついたり、頭上の枝から落ちてきたりしたものだと一蹴されてきた。今回の研究は、それらの主張を打ち消すものだ」

体の反動を利用してジャンプするヒルの姿

「ヒルがどうやって宿主を見つけてその体に付着するのかを特定することができれば、ヒルの消化管の内容物分析の結果をもっと深く理解できるだろう」とファハミは述べた。「ヒルは多くの場合、見過ごされて研究が不足されている生物でもある。生態系の自然な一部として、ヒルもまた保護の必要があるかもしれない」

この発見は2017年から2023年にかけてマダガスカルで行われた2度の研究旅行の中でなされたものだ。ファハミは陸生ヒルの一種「Chtonobdella leeches」が植物の葉の上で反り返り、その後身体を空中に投げ出す様子を動画に捉えた。

研究者たちはこの動きを「コブラの後屈」やバネが元に戻る動きになぞらえた。動画の中のヒルはジャンプをする際、普段のシャクトリムシのような動きとは異なり、身体を伸ばしたままの状態を維持している。

論文の共著者であるマイケル・テスラ―(メドガー・エバーズ・カレッジの准教授および自然史博物館の研究員)は、「基本的にヒルのジャンプは優雅だが、着地は衝撃を伴いそうだ」と述べた。

タマバエやチチュウカイミバエ、チーズバエや一部の毛虫の幼虫はジャンプ能力を持つが、陸生ヒルのジャンプ能力に関する具体的な証拠はこれまでほとんどなかった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

午前の日経平均は反発、円安で 金利上昇で金融株もし

ビジネス

アングル:脱デフレ下の不動産株、強弱材料が綱引き 

ワールド

EV追加関税、EUとの交渉で双方に有利な解決策期待

ワールド

米パーデューの破産計画、最高裁が和解案認めず オピ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:小池百合子の最終章
特集:小池百合子の最終章
2024年7月 2日号(6/25発売)

「大衆の敵」をつくり出し「ワンフレーズ」で局面を変える小池百合子の力の源泉と日和見政治の限界

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    爆破され「瓦礫」と化したロシア国内のドローン基地...2枚の衛星画像が示す「シャヘド136」発射拠点の被害規模
  • 2
    「大丈夫」...アン王女の容態について、夫ローレンス卿が語る
  • 3
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 4
    ガチ中華ってホントに美味しいの? 中国人の私はオス…
  • 5
    ミラノ五輪狙う韓国女子フィギュアのイ・ヘイン、セク…
  • 6
    衛星画像で発見された米海軍の極秘潜水艇「マンタレ…
  • 7
    貨物コンテナを蜂の巣のように改造した自爆ドローン…
  • 8
    白昼のビーチに「クラスター子弾の雨」が降る瞬間...…
  • 9
    「次世代のトム・クルーズ」と話題のイケメン俳優、…
  • 10
    偉大すぎた「スター・ウォーズ」の看板...新ドラマ『…
  • 1
    爆破され「瓦礫」と化したロシア国内のドローン基地...2枚の衛星画像が示す「シャヘド136」発射拠点の被害規模
  • 2
    「大丈夫」...アン王女の容態について、夫ローレンス卿が語る
  • 3
    偉大すぎた「スター・ウォーズ」の看板...新ドラマ『アコライト』を失速させてしまった「伝説」の呪縛
  • 4
    「何様のつもり?」 ウクライナ選手の握手拒否にロシ…
  • 5
    スカートたくし上げノリノリで披露...米大物女優、豪…
  • 6
    衛星画像で発見された米海軍の極秘潜水艇「マンタレ…
  • 7
    ロシア軍部隊を引き裂く無差別兵器...米軍供与のハイ…
  • 8
    アン王女と「瓜二つ」レディ・ルイーズ・ウィンザーっ…
  • 9
    貨物コンテナを蜂の巣のように改造した自爆ドローン…
  • 10
    ガチ中華ってホントに美味しいの? 中国人の私はオス…
  • 1
    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に
  • 2
    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア
  • 3
    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間
  • 4
    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…
  • 5
    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…
  • 6
    新型コロナ変異株「フラート」が感染拡大中...今夏は…
  • 7
    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…
  • 8
    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…
  • 9
    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車…
  • 10
    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中