最新記事
日台半導体トップ記者対談

【独占】「思考はアメリカ人そのもの」...TSMCを世界的「モンスター企業」に導いた創業者モリス・チャンの「強烈な個性」とは?

2024年5月30日(木)13時49分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
林宏文、太田泰彦、野嶋剛

Newsweek Japan-YouTube

<半導体取材のトップ記者が「TSMCの成功の要因」を議論。その対談動画の内容を一部紹介する>

「世界最強」「モンスター企業」と称されるまでに成長した台湾の半導体ファウンドリー企業TSMC。

その理由について、『TSMC 世界を動かすヒミツ』(邦訳、CCCメディアハウス)の著者で半導体取材の第一線で活躍する台湾人ジャーナリストの林宏文(リンホンウェン)氏と『2030 半導体の地政学 戦略物資を支配するのは誰か』(日経BP)著者で日本経済新聞編集委員の太田泰彦氏が語り合った。

司会はジャーナリスト・大東文化大学教授で『TSMC 世界を動かすヒミツ』の監修も手掛けた野嶋剛氏が務めた。

本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「【日台半導体トップ記者対談】最強半導体企業TSMCはなぜ成功した?」の内容をダイジェスト的に紹介する。


◇ ◇ ◇

林宏文

TSMCが「怪物的」と言われるまでに成長した理由として、林氏はビジネスモデルと経営者の強いリーダーシップを挙げる。

太田氏はグローバリゼーションとTSMCの成長タイミングの一致に着目。林氏もそれに同意した上で、創業者のモリス・チャンが日本的なIT企業ではなく「下請けでローエンド」だとして避けられがちな製造業を選んだ点に商機があったと語った。

太田泰彦

「アメリカの工場は台湾と同じようにはできないだろう」とモリス・チャンはアメリカの製造業に批判的な発言をすることがあり、また中国に対する「ある種の感情」を見て取れる。

この背景には中国・アメリカ・台湾と3つの国で過ごした経験と大国に対する「負けん気」があり、それが経営者・指導者としての原動力になっていると太田氏は指摘する。

モリス・チャン

林氏はチャンについて、教育を受けたアメリカで働いていたので「思考はアメリカ人そのもの」と語る。

モリス・チャンは会議の際に、部下には最初の1分間で結論を言わせるという。その結論が聞くに値すると思えば、さらに喋らせるという効率重視の手法にはチャンのアメリカ的な思考が感じられる。


■より詳しい内容については動画をご覧ください。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

訂正-米テキサス州のはしか感染20%増、さらに拡大

ワールド

米民主上院議員、トランプ氏に中国との通商関係など見

ワールド

対ウクライナ支援倍増へ、ロシア追加制裁も 欧州同盟

ワールド

ルペン氏に有罪判決、次期大統領選への出馬困難に 仏
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中