台湾を威嚇する中国になぜかべったり、国民党は共産党の「トロイの木馬」
A CHINESE TROJAN HORSE
「中国人ではない」台湾人有権者が国民党に投票する理由
国民党は今年1月の総統選で民進党に敗れたが、立法委員(国会議員)選挙では第1党に返り咲き、議会は親中派が多数を占めることになる。その最初の一手は、中国の侵食を押し返す目的で19年に蔡総統の下で成立した「反浸透法」の弱体化だ。
世論調査で「中国人ではない」と自認する人が70%を超えるのに、台湾人有権者が国民党に投票するのはなぜか。台湾にとって危険なのは、アメリカの軍事支援が弱いときに民進党が政権を取るシナリオだ。最悪の事態を避けるため、「理性的」な有権者はたとえ気に入らなくても戦略的に国民党に入れ、「直感的」な有権者は民進党に投票する。これが政権交代を生んできた。
ただし、この状況は突然、致命的な結果になりかねない。例えば、国民党の極端に中国共産党寄りの総統が、中国からの攻撃を誘引するかもしれない。中国の歴史を振り返れば十分に考えられることだ。
国民党は中国のトロイの木馬であると同時に、アメリカの防衛線のアキレス腱でもある。アメリカと地域の同盟国にとって賢明な戦略は、中国のいかなる攻撃に対しても台湾を軍事的、経済的、心理的に強化することだ。防衛線の中心を守り抜くことは、インド太平洋全体の安定につながる。