ボブ・マーリー伝記映画のグリーン監督が大切にした「ボブのスピリチュアリティ」
――個人的に共感できる、印象的な場面は?
好きなシーンはたくさんあるが、一つはリタと喧嘩した後に寝室で「ターン・ユア・ライツ・ダウン・ロウ」という曲を、アコースティックギターで彼女に歌って聴かせるところ。非常に親密で、2人の絆の強さが伝わってくるし、それぞれを演じたキングズリー(・ベンアディル)とラシャーナ(・リンチ)のケミストリーが感じられる素晴らしいシーンだ。
もう一つは、家族とたき火を囲んで「レデンプション・ソング」を歌うところ。こうやって次の世代やその次の世代にメッセージや精神が受け継がれていく、バトンが渡されていくんだなと感じさせてくれる場面だ。この2つが特に強く印象に残っている。
――この映画はずっと以前の物語を描いているが、今の時代へのメッセージも感じられる。
今も戦争が絶えない世界では、確かにこの映画はタイムリーなものではあるかもしれない。ただ私はタイムレスな、つまり時代を超えた作品にしたかった。いつ聞いても、その時代に当てはまるメッセージを発しているボブの歌がそうであるように。
例えば、自分の大好きな映画であるスパイク・リー監督の『ドゥ・ザ・ライト・シング』は当時の社会問題を取り上げているが、今の時代にも当てはまるメッセージが含まれている。素晴らしい映画や音楽には、そうしたタイムレスなところがある。今回の映画もこれからいろいろな人が何度見ても、いつ見てもタイムリーだと感じてもらえるようになったらうれしい。