最新記事
映画

笑って泣ける露出度高めのラブコメ『恋するプリテンダー』が日本に上陸、世界的大ヒットの理由を監督に聞く

Rom-Com Is Back!

2024年5月8日(水)17時45分
小暮聡子(本誌記者)

主役のシドニー・スウィーニー(左)とグレン・パウエルがシドニーを舞台にドタバタ劇

<世界の興行収入が驚異の2億ドル超!なぜここまでヒットしたのか、日本にゆかりのあるウィル・グラック監督に独占インタビュー>

久しぶりに、ロマンチック・コメディー(ロマコメ)に大ヒット作が生まれた。昨年12月に全米公開された『恋するプリテンダー』(日本公開は5月10日)は、全世界の累計興行収入が既に2億1900万ドル(5月2日時点)超。ロマコメ作品としては『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』(2016年)、『クレイジー・リッチ!』(2018年)以来となる2億ドル突破の快挙を達成した。

シドニー・スウィーニーとグレン・パウエルという今注目の俳優2人が、惹かれあいながらもすれ違う男女を演じる、泣き笑い必至の王道ロマコメ。日本にゆかりのあるウィル・グラック監督に、本誌・小暮聡子が見どころを聞いた。 

◇ ◇ ◇

――ロマコメながら、ヒットした理由をどう考える?

世界は「楽しい」映画を求めているんだと思う。この作品は、ロマンスと音楽の要素があるとても楽しい映画で、舞台は美しいシドニー、主役の2人も美しい。特に誰かと一緒に映画館で見てもらうと、さらに楽しめると思っている。この映画自体が、誰かと一緒に笑ったり泣いたり、歌ったりすることそのものだから。

いま、映画館に出向いて映画を観るというのは移動時間も含めれば5時間がかりのイベントだ。それだけのことをやるに値する映画は何かと考えたとき、大きな予算をかけたかとか、大がかりな仕掛けがあるとか、スーパーヒーローがいるかどうかということより、他の人と一緒に良い時間を過ごせたかどうかだと、私は思う。

コロナ禍を経て、いま私たちは「共通の体験」に飢えているんじゃないだろうか。この映画には、共通の体験が詰まっている。

――アメリカの映画館では、上映中に観客がみな笑ったり泣いたりしているのか。

そう。そして映画を見終わった人たちの様子をTikTokなどで見ると、劇中の歌を歌いながら映画館を後にしている。実際に足を運んで、みんなが特大のスマイルで劇場から出てくるのも目にした。

――本作は登場人物の心の内を描いてもいる。主人公の2人がだんだん心を開いて、自分にも周りにも正直になっていくプロセスが見る者の共感を呼ぶのでは。

物語の筋書き自体はシェイクスピアの戯曲『空騒ぎ』から来ているのだが、現代は本当の気持ちを語ることに臆病になり、自分の周りに殻を作ってしまいがちだとは言えると思う。主人公の2人は、互いに気持ちがあるのに誤解があるせいで相手を嫌いなふりをして......でも一度その殻が壊れると、自分自身が本当はどんな人間かを溢れるようにさらけ出し始める。

あともう1つ、人が憎しみ合うとき、憎しみと愛情は紙一重だということ。もともと愛がなければそこまで憎しみは湧かないから。これもこの映画の大きなテーマの1つだと思う。

newsweekjp_20240508083642.jpg

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中