LGBTQは受け入れても保守派は排除...「リベラル教皇」で割れるカトリック教会 「文化戦争」の最前線でいま何が?
POPE’S DIVINE INTERVENTION
なかでも最高に急進的な組織の1つがドイツの教会刷新運動「シノドスの道」だ。この組織はフランシスコに対して、離婚経験者やLGBTQの人々を信徒として受け入れるためのさらなる努力を求めている。教会の現在の組織を見直して、教会に任命された聖職者以外の信徒も司教選びに参加し、ミサでの説教を行うなど、今よりも大きな役割を果たせるようにすることも求めている。
米ノートルダム大学のデービッド・ランティグア准教授(倫理神学)は本誌の取材に、「フランシスコがドイツ教会の動向に極めて大きな懸念を抱いているのは間違いない」と述べた。「教皇はこれまでに何度か、『シノドスの道』が独自の評議員会の樹立に突き進み、そのせいでカトリック教会が混乱に陥るのではないかと言及している」
こうした左右からの批判はあるものの、ほとんどの信者は今の教皇を支持している。米世論調査機関ピュー・リサーチセンターが21年に実施した調査では、アメリカのカトリック信者の82%が教皇を「非常に」あるいは「おおむね」好意的に見ていた。アメリカ国民全体でも、過半数を超える63%がフランシスコ支持を表明していた。
極右で自称「無政府主義者」のアルゼンチン大統領ハビエル・ミレイも、以前はフランシスコを「能無し」で「汚い左翼」とけなしていたが、昨年末に大統領となってからはトーンダウン。今年2月にはフランシスコを「史上最も重要なアルゼンチン人」と絶賛し、バチカンでのミサに出席したときはフランシスコと熱い抱擁を交わした。