LGBTQは受け入れても保守派は排除...「リベラル教皇」で割れるカトリック教会 「文化戦争」の最前線でいま何が?
POPE’S DIVINE INTERVENTION

教会改革の落としどころは
だが教会内部の伝統派は、左右からの批判に対するフランシスコの対応が不公平だと考えている。例えば聖家族教会のマレー神父。教皇は「シノドスの道」を口先で批判するだけで、教皇の意向に反する彼らの活動に断固たる措置を取っていないと、本誌に語った。
「その気になれば、ドイツの司教たちが『シノドスの道』の主張に従ったり、彼らの活動に資金を提供したりするのを禁止することもできるはずだ。しかし教皇はそれをしない」と彼は言う。「教皇はより保守的な信徒に対しては厳しい姿勢を取る一方で、これまで協力・支援してきたリベラル派の信徒には比較的穏やかな批判しかせず、彼らを罰することもほとんどない」
ビラノバ大学のファッジョーリ教授は、フランシスコがアメリカ教会の伝統派聖職者により厳しい姿勢で接しているのは確かだが、「彼らが世界各地の司教たちより突出しているのもまた事実」だと見る。
アメリカの伝統派と世界各国の進歩派は全く異質で、アプローチの仕方も異なるとファッジョーリは言う。フランシスコを批判するにしても、諸外国の進歩派はそれなりに礼儀正しい言葉を使うが、アメリカの伝統派カトリックはすぐソーシャルメディアに飛び付いて教皇に対する不満を拡散させたがる。
だから教皇フランシスコとアメリカのカトリック教会の関係が「いい方向に向かうとは思えない」とファッジョーリは言い、こう付け加えた。「各国の教会組織との関係はどこでも厄介なものだが、今の教皇にとってはアメリカとの関係が最も波乱含みだ。これは間違いない」
こうした文化戦争の主戦場はアメリカだが、教皇フランシスコの目はしっかり世界を見つめている。
最後に、アメリカ・カトリック大学のウィリアム・ディンジェス教授(宗教学)の総括を聞こう。
「フランシスコはカトリック教会全体を前に進めたいと考えている」とディンジェスは言う。「だから踏み込みすぎて、カトリックの思想を単なる文化としての宗教におとしめるようなことは避けたい。一方で、教会が昔ながらのセクト的なコミュニティーに戻る事態も避けたい。その中間に、うまい落としどころを見つけたい。それが彼の願いだ」
アマゾンに飛びます
2025年12月16日号(12月9日発売)は「ジョン・レノン暗殺の真実」特集。衝撃の事件から45年、暗殺犯が日本人ジャーナリストに語った「真相」 文・青木冨貴子
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
-
東京本社/外資系データセンター事業者向けUPS 無停電電源装置/の技術営業
株式会社TMEIC
- 東京都
- 年収590万円~960万円
- 正社員
-
外苑前/在宅可/データサイエンティスト 大手外資系保険会社グループのDXカンパニー/休暇制度充実
アフラックデジタルサービス株式会社
- 東京都
- 年収800万円~1,300万円
- 正社員
-
大型産業機械のサービスエンジニア 創業160年老舗外資/海外の最先端技術に携われる
株式会社イリス
- 東京都
- 年収560万円~600万円
- 正社員
-
自社CPM/EPM製品のプリセールス/イタリア発外資ベンダー/大手企業への導入事例多数
Tagetik Japan株式会社
- 東京都
- 年収700万円~1,500万円
- 正社員





