人口流出を食い止めるカギは、地元大学の魅力を高めること
公立大学の関係者は特に、学生の地元出身者割合に関心を持っているはずだ。<表2>は、公立大学入学者の自県出身者割合を計算したものだ。公立大学がある43県の数値を高い順に並べている。
公立大学の学生の地元出身者割合は高く、20の県で50%を超える。学費を安くするなど、優遇策が取られているためだ。東京は35.6%と低い部類だが、この状況を問題視したためか、家計支持者が都内在住の学生の授業料を無償にする方針を打ち出している。インパクトのある政策だ。
地元出身者割合が最も低いのは鳥取で、23.4%しかない。公立鳥取環境大学では、何とか地元からの進学を増やそうと、県内出身の学生に支援金を支給している。秋田県立の名門・国際教養大学も、学生の多くが県外出身者で、卒業後も県外に出て行ってしまう。大学としては、県内に就職した学生の奨学金返済を支援している。
県外に出て行ってしまっても、「関係人口」として何らかの形で地域の発展に貢献してくれるなら有難い。県内に就職し、定住してくれるともっといい。こうした卒業後の状況のデータも、地方の大学の役割を評価・改善するにあたって必要不可欠だ。
<資料:文科省『学校基本調査』(2023年度)>