中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略がプーチンを窮地に追い込む
China's Quiet Push Into Russia's Far East Puts Putin in a Pickle
「無限の協力関係」と言いながら、習近平は極東ロシアへの領土的野心を隠さない(2023年10月18日、北京の一帯一路フォーラムでプーチンと) Sputnik/Sergei Guneev/REUTERS
<中国と国境を接する極東ロシアに流入する中国農民が地元住民を圧倒し、人民元依存で経済の舵取りができない>
国際舞台ではロシアとの「無限の協力関係」を喧伝する中国が、ロシア極東の一部を静かに乗っ取ろうとしている。
日本経済新聞によれば、極東の沿海州(プリモルスキー州)の国境地帯では中国人農民が急増しており、その経済的影響力は地元住民を圧倒している、という。
1860年に清朝がロシアに割譲したこの地域は、中国の政策立案者やナショナリストの関心の的となっている。昨年、中国は国内の地図に沿海地方の行政の中心地であるウラジオストクの中国語名であるハイシェンワイの他、7つのロシア極東部の中国語名を記載するよう定めた。
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ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、ウクライナは常にロシア国家の一部だったと主張するのと同じように、中国の習近平国家主席は、失われた領土の回復を「中華民族の偉大な復興」の最優先課題に挙げている。
中国はいつの日か、台湾を自国の領土として統一すると公言している。また、「歴史的権利」として南シナ海の大半の領有権を主張し、フィリピンや他の近隣諸国と対立している。
ロシア国境と接する中国東北部黒竜江省の鶴岡市はかつて石炭の産地として栄えたが、経済の先行きは暗い。そんななかで、これからも多くの中国人農民がロシアに向かうかもしれない、と日経はさらに報じた。
地元の生活を変える中国人移民
「ロシア極東地域における『黄禍論』的な不安は今に始まったことではない。何世紀とは言わないまでも、それが何十年も存在してきたのは、国境の両側の人口バランスが大きく崩れているためだ」と、米シンクンタンク、スティムソン・センターの中国プログラム責任者ユン・スンは本誌に語った。
「中国人の流入はロシアの支配を脅かしかねない。まだ主権の問題が交渉のテーブルにのぼる段階ではないと思うが、現地の中国人農民をどう管理するかは厄介な問題になるだろう」。
学術雑誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・エコノミクス・アンド・ソシオロジー」に掲載された2021年の研究では、中国人農家の存在や、中国人所有企業との取引が、地元農家の所得を押し上げるケースもあることがわかった。