最新記事
ロシア

バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

Russia accidentally sank own ship during Baltic Navy drills

2024年3月30日(土)08時46分
イザベル・バンブルーゲン
バルチック艦隊が自国の船を撃沈

travelarium.ph/Shutterstock

<3人が死亡、4人が負傷との情報。生き残った乗組員はロシア連邦保安庁から「何も語るな」ときつく口止めされたという>

ロシアがバルト海に接する飛び地カリーニングラード沖で実施した海軍演習のなかで、誤って自国の船にミサイルが着弾して沈没させ、これにより船に乗っていた3人が死亡し4人が負傷したと地元メディアが伝えた。SNSではこの時の様子だとされる動画が出回っており、ウクライナ高官もこれを引用している。

■【動画】バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...当局は遺族に「口止め」と地元メディア

事故が起きたのは3月19日にバルチック艦隊が行った軍事演習でのこと。独立系テレビ「TV Rain(ドシチ)」は、同艦隊が誤ってトロール漁船「キャプテン・ロバノフ号」をミサイルで攻撃したと報じた。

漁船の乗組員の親族が語ったところによれば、この事故で漁船の乗組員3人が死亡、4人が負傷し、漁船の船長室は破壊されたという。当時の報告では、漁船で「火災」が発生し、死亡したのは1人だけだとされていた。

この乗組員の親族はTV Rainに対して、「生存者が病院に搬送された時点で、3人が死亡していたことは全員が知っていた」と述べ、さらにこう続けた。「漁船がミサイルによる攻撃を受けたことも、全員が十分に分かっていた。だが彼らはそれを『火災』だったことにしたのだ。いったいどんな火災だったというのか。船長室が完全になくなっていたのは、吹き飛ばされたからだ」

助かった乗組員たちはピオネールスキーにある病院に搬送され、1人は重体だという。乗組員の親族はまた、ロシア連邦保安庁(FSB)が乗組員を取り調べ、彼らに「事故について一切話すな」と命じたと主張した。

本誌はこの報道を独自に確認することができず、ロシア国防省にメールでコメントを求めたが返答はなかった。

潜水艦を使った演習を行っていた

ロシアの複数のテレグラムチャンネルには、海上で漁船が燃えている様子を捉えたとみられる動画が出回っている。ウクライナ内務省の元顧問であるアントン・ゲラシチェンコはX(旧ツイッター)への投稿の中で、「ロシア軍が演習中に自国の船舶を沈没させたようだ。よくやった!」と述べた。

この事故が起きた当時、ロシアの国営タス通信は、ロシア軍のバルチック艦隊がカリーニングラードで演習を行っていると報じていた。

タス通信はバルチック艦隊の広報の発表を引用し、3月19日に実施された演習の中でバルチック艦隊のコルベット「ボイキー」が敵艦に模した潜水艦を破壊したと報じた。コルベットの乗組員らは「敵艦に模した潜水艦を捜索、検知して対潜兵器システムで破壊する」訓練を行ったと声明で述べた。

戦争分析会社のロチャン・コンサルティングは2023年9月、バルチック艦隊はウクライナにおける戦争で「能力が低下」し、もはや大規模な水陸両用作戦を実行する能力はないと評していた。

20241126issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、二国間貿易推進へ米国と対話する用意ある=商務

ビジネス

ノルウェー・エクイノール、再生エネ部門で20%人員

ワールド

ロシア・イラク首脳が電話会談 OPECプラスの協調

ワールド

トランプ次期米大統領、ウォーシュ氏の財務長官起用を
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中