やり過ぎたイスラエル、守りきれなくなった米バイデン政権が初めて安保理停戦決議の成立許す
Biden Admin Crosses Israel's Red Line
ハマスに対する報復攻撃開始後、イスラエルを訪問してネタニヤフを抱擁したバイデンだが(2023年10月18日、テルアビブ) REUTERS/Evelyn Hockstein
<バイデン米政権は3月25日、「重要な同盟国」イスラエルのネタニヤフ首相が設定した一線をとうとう越えた。すでに3万人以上の民間人が犠牲になったガザへ、さらに地上侵攻を仕掛けようという暴挙は止められるのか>
ジョー・バイデン米政権は3月25日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が設定した一線を越えた。
AP通信の報道によれば、国連安全保障理事会(以下安保理)で25日に行われた停戦決議の採択で、アメリカはイスラエルが求めていた「拒否」ではなく棄権を選択した。パレスチナ自治区ガザにおけるイスラエルとハマスの戦闘の停止、および、ハマスが拘束する人質全員の解放を要求するものだ。
米国が拒否ではなく棄権票を投じたため、停戦決議は初めて可決された。バイデンはガザ地区の人道状況を懸念しており、長らく緊密な同盟国と見なされてきた米国とイスラエルの関係は緊張感を増している。
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ネタニヤフは25日、国連決議採択の前に、バイデン政権に最後通達を行い、もし米国が拒否権を行使しなければ、イスラエル代表団の訪米を中止すると警告した、とイスラエル紙タイムズ・オブ・イスラエルは報じている。
タイムズ・オブ・イスラエルによれば、ツァヒ・ハネグビ国家安全保障顧問とロン・デルメル戦略問題担当相はアメリカを訪問し、ガザにおける人道援助の拡大について意見を交わすことになっていた。
しかし停戦決議の採択後、ネタニヤフ政権はイスラエル代表団の訪米を中止した。そして、「開戦以来、アメリカは安保理で一貫した立場をとってきたが、(投票の棄権は)明らかな後退」であり、「国際的な圧力によって、人質を解放することなく停戦できるという希望をハマスに与える」ものだと断じた。
「正当防衛」を主張するイスラエル
2023年10月7日、ハマスがイスラエルに攻撃を仕掛けた結果、1200人のイスラエル人が犠牲になり、250人が人質として拘束された。現在も100人以上が拘束されている、とイスラエルは述べている。イスラエルは、ハマスの指導者たちを標的とし、人質を取り戻すという目標を掲げ、ガザ攻撃を開始。これまでに3万人以上のパレスチナ人たちが殺された。
バイデンは、イスラエルの重要な同盟国を自認しており、イスラエルには自国を守りハマスを追い詰める権利があると認める一方、ガザにおける民間人の死者数についても懸念も表明してきた。
世界のほかのリーダーに比べると、バイデンは恒久的な停戦を強く求めるまでには至っていないが、それでも、イスラエルに対しより慎重な対応を促すようになっており、ネタニヤフと食い違いが生じている。11月に大統領選挙を控えた国内でも、パレスチナの人道状況を懸念する民主党支持者からの圧力に直面している。