最新記事
ウクライナ情勢

「この戦争で最大の攻撃」ロシアのミサイルがウクライナ最大の水力発電ダムに命中...「大爆発の瞬間」も映像に

Video Shows Colossal Blast as Russian Missile Strikes Ukraine's Biggest Dam

2024年3月26日(火)19時00分
イザベル・バンブルーゲン、エフゲニー・ククリチェフ
ミサイル攻撃を受けたドニプロHES

ミサイル攻撃を受けたドニプロHES(3月22日) Press service of the General Prosecutor's Office of Ukraine/Handout via REUTERS

<ミサイル砲撃を受け、ウクライナのハルシチェンコ・エネルギー相は「エネルギーセクターに対するこの戦争で最大規模の攻撃」と述べた>

ロシアのミサイルがウクライナの防空網をすり抜け、ザポリージャ州にあるウクライナ最大の水力発電ダムを攻撃する様子とみられる映像が3月22日に公開された。親ロシアの報道機関や軍事ブロガーらが同日の午前中にこの動画を共有した。

【動画】猛スピードで上空を通過し、数秒後に「大爆発」...ロシアのミサイルがウクライナ最大のダムを襲う瞬間

ドニプロ市の南に位置する「ドニプロHES」は、ウクライナ最大の水力発電ダムで欧州でも有数の規模を誇る。ドニプロにあったもう一つの重要施設カホフカダムは2023年6月に破壊され、広範囲の洪水と荒廃につながった。当時、ウクライナと独立系の専門家はこの攻撃の背後にはロシアがいると主張していた。

ドニプロHESが攻撃されたのはロシアが大規模な攻撃を仕掛けた中でのこと。この攻撃についてウクライナのエネルギー相、ヘルマン・ハルシチェンコは「ウクライナのエネルギーセクターに対するこの戦争で最大規模の攻撃」と形容している。

ウクライナ国営の水力発電公社ウクルヒドロエネルホは22日、ザポリージャ州にあるドニプロHESが攻撃されたことは認めたが、決壊のリスクはないと述べている。

エネルギーシステムの混乱を狙うロシア

ウクライナ検察庁で戦争犯罪担当部門の指揮を執るユーリィ・ベロウソフは国営テレビで「ドニプロHESは8回にわたって砲撃された」と話したと、ウクラインスカ・プラウダは報じている。

テレグラムに動画を投稿した親ロシアのニュースチャンネルSHOTは、「今朝のドニプロHESへのミサイル攻撃の瞬間」と伝えている。

エコノミスト誌の外国特派員オリバー・キャロルはX(旧ツイッター)で、動画を見るかぎり、ロシアはこの攻撃において「囮熱源のフレア」を使ってウクライナの防空体制に対抗したと述べている。

ウクルヒドロエネルホのイゴール・シロタ総裁はドニプロHESが攻撃のため閉鎖されたと述べ、被害の規模について「きわめて大きい」とした。

エネルギー相のハルシチェンコはフェイスブックで、「敵の目的は(発電所)そのものを破壊するだけでなく、わが国のエネルギーシステムに大規模な混乱をもたらすことにある」と述べている。

「一部の地域では停電が起きている。エネルギー各社はすでに電力供給の復旧にとりかかっている。一刻も早く国民への電力供給を再開できるようにベストを尽くしている」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    大麻は脳にどのような影響を及ぼすのか...? 高濃度の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中