最新記事
アメリカ大統領選挙

米大統領選挙後の近未来を予測「もしトランプが再選したら」その時、日本はどうなる!?

IF TRUMP WINS

2024年3月21日(木)20時54分
サム・ポトリッキオ(本誌コラムニスト、ジョージタウン大学教授)
アメリカ大統領選挙後の近未来を予測「もしトランプが再選したら」世界はこう変わる!

トランプは多くの世論調査でバイデンを上回る支持を集めている AL DRAGOーBLOOMBERG/GETTY IMAGES

<現実味を帯びだしたトランプの大統領への返り咲き。外交政策からウクライナ戦争、経済そして日米関係はどうなるのか?気になる7つの分野を大胆予測する>

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は最近、メディアにこう語った。アメリカの大統領は現職のジョー・バイデンに続けてもらいたい。何といっても「彼のほうが予測できる」から──。

これがプーチンの本心かどうかはともかく、彼の言葉はトランプが再び米大統領を務めることになった場合にどうなるかを予測するのが、ほぼ不可能であることを示している。

確かにトランプの2期目については「予測できないことだけは間違いない」と、よく言われる。

この安易な決まり文句の下に行われる貧弱な分析は忘れて、トランプが招く大混乱を乗り切るのに役立つ大切なポイントを押さえておきたい。

多くの政治アナリストを眠れなくさせている大きな不安要因は、大統領選でトランプが勝てば、その次の選挙を気にする必要のない統治が始まるということだ。

既に第45代大統領を務めたトランプは、今度の選挙に勝って第47代大統領となれば、憲法の定めによって3期目は狙いたくても狙えない。

だから、彼はやりたい放題。政敵への復讐心をたぎらせつつ、独裁者の地位を目指す。

アメリカ史上、最も信頼に足る政策立案者の1人だったエリオット・リチャードソンは、米政治に向き合う最良の準備は児童心理学の知識を持つことだと語った。

この冗談めいた言葉は、特にトランプという人間を知ろうとするときに核心を突いている。

2期目のトランプがどう動くかを考えるには、彼の心理を理解する必要がある。

第1にトランプは、日々のニュースの見出しを独占しようという強い意思の下に行動する。

アメリカの視聴者だけでなく世界でも最大の注目を集めようとするプロデューサーさながらに、大統領職を遂行していく。

第2にトランプは知識不足ゆえ、また説得力のあるアドバイザーに影響されやすいために、方針を転換したり過去の発言を取り消したりする。

第3に、彼は強烈な喝采を浴びたいと思っている。アメリカ人全体からの高い支持は必ずしもなくて構わないが、自分をひたすら崇拝し、熱狂的に叫ぶ支持者が欲しい。

そして第4に、トランプは最も影響力のある大統領として歴史に名を刻むような巨大なレガシーを手に入れることを望んでいる。

トランプの行動を予測し得る可能性についてプーチンの発言を参考にするのは、そこに興味深い理由があるからだ。

トランプに強力な自白剤を投与し、最も尊敬する大統領は誰かと尋ねたら、プーチンである可能性が高い。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ関税、インフレを悪化させ雇用を奪う=メキシ

ビジネス

米11月CB消費者信頼感111.7、予想上回る 労

ビジネス

米住宅価格指数、9月は前月比0.7%上昇=FHFA

ワールド

G7外相声明草案、イスラエルに停戦迫る 首相逮捕状
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳からでも間に合う【最新研究】
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    こんなアナーキーな都市は中国にしかないと断言できる!?──重慶市の通勤風景がtiktokerに大ヒット
  • 4
    早送りしても手がピクリとも動かない!? ── 新型ミサ…
  • 5
    放置竹林から建材へ──竹が拓く新しい建築の可能性...…
  • 6
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 7
    バルト海の海底ケーブル切断は中国船の破壊工作か
  • 8
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    トランプ関税より怖い中国の過剰生産問題
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 6
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 7
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 8
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中