「テキサス州は30年以内に独立国になる」と明言...テキサス・ナショナリスト運動の「主張」
TEXIT DREAMS
しかしテキサス政治プロジェクトのジョシュア・ブランク調査部長は、テクシットがブレグジットのように平和的に起こることはあり得ないと語る。さらに、たとえ独立が実現しても新しいテキサス国政府は、政府の役割はなるべく小さくあるべきだという共和党の基本理念とは正反対の存在になるとみている。
「歴史を振り返れば、テキサスが平和的に分離独立する現実的シナリオなど存在しないことは明らかだ」と、ブランクは言う。「それに実際の仕組みを考えれば、独立論のばかばかしさにすぐに気付くだろう。テキサスは、質が高いとは言えない現在の行政サービスを提供するのにも、連邦政府の財政支援を頼りにしている。それがなくなれば、州政府の負担は大幅に拡大することになる」
テキサス独立論の盛り上がりは、アメリカ全体における政治的緊張の高まりと無縁ではない。ドナルド・トランプ前大統領の強力な支持者として知られるマージョリー・テイラー・グリーン下院議員は昨年2月、アメリカを「赤い州(共和党が優勢の州)と青い州(民主党が優勢の州)に分けて、連邦政府の役割を縮小する」という「国内の離婚」を提案して、激しい議論を巻き起こした。
ただ、その後、世論調査ユーガブとエコノミスト誌が共同で実施した世論調査では、この提案に賛成するアメリカ人は23%にとどまり、反対と答えた人が62%に達した。
カリフォルニアでも独立論
それでもグリーンが国家の分断という議論に火を付けたことは、テキサス独立論にとって「有益」だったとミラーは語る。
その一方で、アメリカを民主党が優勢な州と共和党が優勢な州に二分するという構想については否定的な考えを示した。「(アメリカは)主権を持つ50の州からなる連合だ。支持政党によって分断されたアメリカはあり得ない。究極的には(州の)自発的な連合だから、この関係を続けたいかどうかは各州が判断すればいい」
実際、独立論が盛り上がっている州はテキサスだけではない。16年大統領選でトランプが勝利したときは、「カレグジット」(民主党が優勢なカリフォルニア州の合衆国離脱)という言葉がを飛び交った。
その後、カリフォルニア大学バークレー校政府研究所が実施した世論調査によると、「カリフォルニア州が独立を宣言して、単独の国家になることを求める州民投票の実施」を支持する人は、民主党支持者の間で44%、州全体でも32%に達した。