最新記事
米大統領選

スーパーチューズデー、トランプ12州制す、ヘイリーは1州で勝利...有権者の関心は移民問題と経済に

2024年3月6日(水)17時49分
ロイター
米大統領選 トランプ

11月の米大統領選に向けた共和党の候補者選びで15州・1地域の予備選などが集中する「スーパーチューズデー」の投票が5日行われ、トランプ前大統領(写真)が11州で勝利を確実にした。バージニア州リッチモンドで2日撮影(2024年 ロイター/Jay Paul)

11月の米大統領選に向けた共和党の候補者選びで15州・1地域の予備選などが集中する「スーパーチューズデー」の投票が5日行われ、トランプ前大統領が12州で勝利を確実にした。

本選で民主党の現職大統領バイデン氏と再び対決する可能性が高まった。

エジソン・リサーチなど各社予測によると、トランプ氏は代議員数が多いカリフォルニア州やテキサス州のほか、アラバマ、アーカンソー、コロラド、メーン、マサチューセッツ、ミネソタ、ノースカロライナ、オクラホマ、テネシー、バージニア各州でヘイリー元国連大使に勝利した。

ヘイリー氏は唯一、バーモント州で勝利した。

一方、バイデン氏はエジソンの予測でアラバマ、アーカンソー、コロラド、アイオワ、メーン、マサチューセッツ、ノースカロライナ、オクラホマ、テネシー、テキサス、バーモント、バージニアなど15州で勝利した。

トランプ氏はフロリダ州の私邸マールアラーゴで勝利演説を行い、バイデン氏の移民政策を批判。「米国の都市では移民の犯罪が横行している」と述べた。ただ、犯罪統計ではそうした傾向は裏付けられていない。

トランプ氏はバイデン氏を史上「最悪の大統領」と評し、「11月5日は米国の歴史において最も重要な日になるだろう」と語った。

バイデン氏は声明で、トランプ氏は米国の民主主義に対する脅威だと改めて強調。「今夜の結果によって、国民は明確な選択を迫られている。前進し続けるのか、トランプ氏に混乱や分裂、暗闇へとわれわれを後退させることを再び許すのか」と問いかけた。

バイデン氏はミネソタ州でも勝利したが、エジソンによると、予想票数の半分以上が集計された時点で、「支持者なし」票が20%近くを占めた。こうした票は政権がパレスチナ地区ガザで攻撃を続けるイスラエルを支援していることに対する「抗議」を表す。先週のミシガン州予備選で行われた同様の取り組みが集めた13%を上回った。また、バイデン氏は米領サモアの党員集会で敗北した。実業家のジェイソン・パーマー氏が51票を獲得し、バイデン氏の40票を上回った。

11月の本選でトランプ氏とバイデン氏の再戦を望んでいる有権者は少ないとみられ、世論調査では両氏の支持率が低迷している。

エジソン・リサーチがカリフォルニア、ノースカロライナ、バージニア各州で行った出口調査によると、有権者の関心は移民問題と経済に向かっている。

3州で投票した共和党員の過半数は不法移民の国外退去を支持。トランプ氏は当選すれば米国史上最大規模の国外退去に向けた取り組みを進めると表明している。

一方、今回の結果を受けてヘイリー氏への撤退圧力は一段と強まるとみられる。同氏は5日、公の場に姿を見せず、今後の選挙イベントの予定は組まれていない。同氏のスポークスパーソンは「ドナルド・トランプに深い懸念を表明している多くの共和党予備選投票者が残されている」と述べた。

ノースカロライナ州で投票した有権者の約3分の1は、トランプ氏が刑事訴訟で有罪になれば大統領としてふさわしくないと回答。一方、バージニア州では53%が有罪になっても大統領としてふさわしいと答えた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

カナダ・メキシコ首脳が電話会談、米貿易措置への対抗

ワールド

米政権、軍事装備品の輸出規制緩和を計画=情報筋

ワールド

ゼレンスキー氏、4日に多国間協議 平和維持部隊派遣

ビジネス

米ISM製造業景気指数、3月は50割り込む 関税受
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中